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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第43話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S2 E43 『Bruno's Map Mishap』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: レキシー・カハノヴィッツ、モニーク・モロウ

内容: ブルーノが大事にしていた地図が吹き飛ばされてしまい、トーマスたちは協力して地図を取り戻そうとする。

 

【このエピソードについて】

©︎Mattel

 新キャラクターでありメインキャラクターでもあるためトーマスたちみたいに主役回が用意されているのですが、何気に久しぶりの出番ですね。そんなブルーノ、今回は趣味について深掘りされています。

 "役に立つためには特に必要はないけど、持っていると落ち着く所有物"を取り戻すお話というところでは、トーマスのセリフで言及があるように、AEG第1シリーズ『パーシーのラッキーベル』と同じですが、その回は「約束を守って大事に扱う」のと「友達を信じること」を焦点においた良回でした。物語全体は好きではないけど。

 今回のお話は「友達を頼っていい」という自閉症の子どもに向けた優しいメッセージを焦点に置いています。今回のブルーノは、いつも通り最高で、自閉症の特徴とブルーノならではの性格の特徴が的確に表現されていますね。時刻表通りに仕事を進めたいというこだわりがあって、トップハム・ハット卿からプレゼントされた大好きな地図(路線図)が飛ばされて取り戻したいのは山々だけど、時刻表に混乱が生じるのは避けたくて、素直に頼ろうとしません。その制限を設けているのも好きですし、こだわりが邪魔して頼れないという自閉症の特徴に基づいた微妙にリアルな心理表現も良いです。

当事者の私も、相手が支援者だろうと友達だろうと、こうなったら相手に悪いなとか、全体に迷惑かかるかもと思って、私個人のことで何かあっても、すぐに相談ができません。でもその友達や支援者の方からはよく言われるんです。個人のことでも絶対にため込まないですぐに相談してくれと。それを思い出しました。

 そして何よりいつも通りブルーノに対する仲間達の対応と配慮が温かいことも良いですよね。単純にディーゼルやカナの良いところが描かれるのも嬉しいです。

 

©︎Mattel

 『ピーナッツ』のライナス・ヴァン・ペルトの安心毛布のような所有物を持つキャラクターは、パーシーよりブルーノが理にかなっていると思うんですよね。

自閉症の中には、ベッド横のテディベア*1以外に、例を挙げるならぬいぐるみを手放せない人が多い印象です。周りの知り合いや自分も含めて。ぬいぐるみじゃない人もいますが、とにかく"大好きな物体A"をスマホみたいに常に持ち歩いていないと落ち着かないんですよね。『ブレーキしゃのブルーノ』で悲しい時は時刻表のことを考えるのが好きだという趣味も含めて、理解に苦しむ人もいるとは思いますが、それが無いと、大人だろうと無意識に途方もないストレスを覚えるんです。

制作陣もそう感じてきたのかはわかりませんが、最近ではパーシーのラッキーベルに焦点を置いたエピソードは見なくなってきました。長編だと無くなって焦りを覚えていた対象は大大大冒険マシーンでしたし。

 

©︎Mattel

 面白いのは、ブルーノは地図がなくても全路線を把握していることですよね。これがブルーノにとって「地図がただ気持ちを落ち着かせるものだ」ということを強めています。本当に運に関係があるか怪しいラッキーベルと違って。それでもストレスを覚えて通常でいられないブルーノに自ら手を差し伸べてくれる仲間たちが暖かくて好きですし、その脳内に入った時刻表と地理の知識が物語でフル活用されているのも好きです。たとえ後ろ向きでもどこを走っているのかわかるのも含めて才能だなと思います。こういうのは他のエピソードでも活かされてほしいですね。

 それから、ブルーノの地図みたいに、熟知しているけど手元に持って眺めていたい、そういう気持ちすごく共感します。私なんかも従来のシリーズのソドー島の地図は頭に入っていても、更新するたびに眺めるのをやめられませんし。プラレールのオタクが、今何が販売されているのか、何年に廃盤になっているかを熟知していてもカタログを眺めることを楽しんでいることとかも共通点がありますよね(笑)

 

©︎Mattel

 挿入歌「Friendship Map」は、友達を頼っていいということを学ぶブルーノの歌です。こだわりが強い自閉症の特徴があるからこそ、この曲は結構自分にささりましたね。物語上ではあまり必要なく、ちょっぴりくどいかもしれませんが、風で飛んでいく地図をもう1分足らず眺めているよりはずっと有意義でまとまりが良い感じがします。

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 古い路線と新しい路線が描かれたAEGのソドー島地図。島の大半に線路が敷かれているのもどうなんだという感じはしますが、従来のシリーズに準じているようにも思えます。非公式だけど、たとえばウィルキンソン地図とかね

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 風で飛ばされたものを追いかけたりとか、仕事に必要のないものを取り戻すだとか、AEGのお約束の展開ではあるものの、自閉症の特徴と制限が設けられた、メッセージの良いエピソードだったと思います。前者の利点は当事者のモニーク・モロウのアイディアなのかもしれませんね。

 

総合評価: 8/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:成人の英国人の3割がテディベアを抱いて寝ているとの研究結果(?)もあるので省きます。