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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第13話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

 

AEG S2 E13 『Christmas Mountain』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: レキシー・カハノビッツ、モニーク・モロウ

内容: ブルーノはクリスマスツリーに星を飾ることを楽しみにしているが、予定の変更を余儀なくされる。

 

【このエピソードについて】

 待ちに待った2D版初のクリスマスエピソードです。AEG第1シリーズには秋の風景とそのエピソードはありましたが、冬は描かれませんでした。キャラクターだけでなく背景もコスト制約によって最初のシリーズには扱えなかったそうです。見慣れたロケーションの雪景色だけでなく、人間キャラクターの冬服や演出まで一新する必要がありますからね。

そしてこの作品は私の好きなブルーノ回でもあります。あらすじからはオリジナルシリーズのとあるエピソードと類似しているのがわかりますが、果たして…?

 

©︎Mattel

 いつものクリスマスが予定通りに行かず、こだわりの強い仲間が絶句するストーリーラインは、必ずしも同じではないですが、S21『デイジーのかんぺきなクリスマス』によく似ています。これは、自分の中でクリスマスの伝統に慣れすぎていた神経質で完璧主義のデイジーが、変化の違いを受け入れることに苦悩するも、新しい友達のライアンやジュディとジェロームのおかげでいつもより悪くなく、新しい完璧なクリスマスであることを学ぶという、ちょっぴりビターで大人っぽい道徳的な物語でしたね。

 ブルーノのお話は、新しい習慣ができることを学ぶだけでなく、クリスマスツリーが無い=星を掲げられない、そんな中で人々を喜ばせられる最善の解決方法を探すお話です。まず、自閉症のブルーノが主役であることでメッセージ性をより強めていて良いですね。実は自閉症の子どもたちにとって、予定通りに行かない事とは非常に関係があることなんです。特にこだわりが強すぎる人にとっては相当なストレスになります

 

©︎Mattel

 物語は一貫して伝統の変化に焦点を当てています。序盤でゴードンがクリスマスツリーを探し回っている間にトーマスがブルーノ達と一緒にツアーを行う展開も、そうですね。トーマスの想像力豊かな発想と、ブルーノの受け入れ方が好きです。トーマスが灯台を"世界一大きなキャンディ"に見立てるも、「●●は●●」として認識しているブルーノにとってはその例えがよくわからない。

S2第9話『ブレーキしゃのブルーノ』でも、日本語吹替版ではカットされてしまいましたが、ディーゼルをスチームローラーに見立てるトーマスに疑問を浮かべて「彼はShunter(入換え機)だ」と指摘する描写がありましたよね。でも今回は「人々が好きならそれで良いかも」と、言えたのは、成長を感じられますね。

前にも言いましたが、自閉症のキャラクターを未就学児向け番組で的確にかつポジティブに描写するメリットは大きく2つあって、その1つが、番組を視聴する同じ問題を抱えた当事者の子どもたちにとっては、他の健常者の子どもたちが共感するキャラクターに惹かれることと同じように、「この子は自分と同じなんだ」と感じさせ、ヒーローとして目に映るんです。例えば幼稚園や学校で、人と違うというだけでいじめられた経験がある場合は、自分がどんな苦労をしてきたか認めてくれる心強い存在になります。場の空気が読めなくて間違えちゃった経験がある子は、キャラクターが成長していく様子を見て「次はこう思うことにしよう」と、学ぶ事ができます

それは身体障害を抱えたキャラクターでも、性別違和のキャラクターでも同じだと思います。マイノリティのポジティブな描写や苦悩する描写は大事。

 

 最も好きなのは、ブルーノが自分の欲望のためではなく、クリスマスツリーの有無と予定表を併せて考えながら人々のためを思っていることです。これはブルーノが鉄道車両で、子どものキャラクターであることにも意味がありますね。

体だけ成長したガキが文句を言うとき、彼らはいつも自分のことしか考えていない。長年ファン層の中心にいるとうんざりするくらい目にするんです。玩具と番組も同じで、泣き言を書き連ねるだけでただ変化に対応できないのなら、わざわざ買う必要も観る必要もないのに。

 

©︎Mattel

 挿入歌「Christmas Spirit」は、協力してルックアウトマウンテンに飾り付けをするときに仲間たちがハッピーな気持ちで歌う曲。歌詞には特に中身はないですが、汽笛の音とクリスマスらしい鈴を合わせたメロディーが好きです。ファララララ〜。

 

©︎Mattel

 アニメーションと美術は特に素晴らしいです。ルックアウトマウンテンがナップフォード駅の背景に頻繁に映り込むので大体の展開は想像できてしまいますが、トーマスの創造力、仲間たちが協力した成果、そしてカナの電流で出来た巨大なクリスマスマウンテンは本編で見る価値があります。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 エピソードの中にいろんなロケーションが登場するので、AEGのソドー島の雪景色を堪能できます。キャノンボール・カーブさえ新鮮みがありますね。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 完璧ではないですが、テーマ、キャラクター、メッセージ性が素晴らしく、特別なクリスマスらしさを感じられてとても気に入っています。ブルーノの言動も良かった。

 

総合評価: 9/10

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