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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第12話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S2 E12 『Stink Monster』『ニオイモンスター』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: サラ・アイゼンバーグ、ベッキー・ウォンバーグ

内容: 臭いモンスターに拐われたパーシーを救うべく、大大大冒険クラブのメンバーは怪物を足止めする計画をたて団結する。

 

【このエピソードについて】

 トーマスシリーズにおいて「stink (臭い)」と云えば、思い当たるキャラクターはただ一つ。そう、ごみ収集機関車のウィフですよね。名前からして「ぷんとくる臭い」という意味なんですが。もしくはAEGではスカンクになるのかな。

でも、ここまで散々「ウィフのリサイクル工場」と名前だけ出てきてるのに出番がない彼。リック・サヴァルによれば、本来は第1シリーズの時点で登場しているはずだったそうですし、シリーズが変わってそろそろ出番があってもおかしくないと思い始めています。

どうしてそんな前振りなのかって? 上で述べたことは、エピソードを視聴する前に書いたからです(笑)

 

©︎Mattel

 前回に引き続き、決して道徳に富んだエピソードではありませんが、エンタメ性があり楽しかったです。予想通りウィフも2D短編で初めて姿を見せましたね。メキシコでこの回が唐突に放送され、情報を追っていた私は、彼が出た瞬間、発狂しました(笑)

冒頭でニアが「どうして人々は砂浜にゴミを捨てるのか」と純粋な疑問を投じたのが好きです。残念ながら物語には無関係でしたが、いつか環境保護を題材にした道徳的なエピソードが来てくれるといいですね。

ゴミを回収する場面では、機関車たちが車輪を手として使わずに、周りの人間たちが貨車に積み込んでいたのが良かったです。

 

©︎Mattel

 最初にスカンクが出るものの、ゴミを回収する仕事に行く前にウィフに会ったり、彼が発明をしている描写が冒頭にあるため、元々ウィフ(=臭いキャラクター)という前提を知らなくても結末がわかりやすいのですが、この回の見どころは大大大冒険クラブが拐われたパーシーを助けるために団結するところ。加えて、発明品の用途と臭いに包まれた理由も描写されていますし、伏線回収と全体的にまとまりがあってテンポが良い印象です。

 

©︎Mattel

 まあ、展開は映画第2作『大冒険! ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル』の簡易版と言わざるを得ません。ウィフが出てくるのももちろんですが、団結してモンスターの謎を解き明かすこと自体がまずそれですし、モンスターを前に足がすくむディーゼルをカーリーが強引に引っ張るところとか、演出といいキャラクターといい何から何まで長編作品と同じ展開なんです。大まかな違いは、ウィフの発明を題材にしているために地上で起こっていることや、メインキャラにブルーノとダーシーが出てこないことくらい。また、パーシーが拐われる場面はかなり作為的に見えました

でも、ぶっちゃけ長編作品に比べて話のテンポは格段に良いです。ルックアウトマウンテンの長編は悪くない作品でしたが、個人的にはどうしてもテンポの悪さが気になってしまうんですよね。

 

©︎Mattel

 長編と違ってディーゼルが"モンスター"に立ち向かおうとする姿勢はとても良かったですね。カーリーに引っ張られているだけの印象だった彼が、悪臭漂う"モンスター"に怖気付いた仲間の前に立ったのは成長したような感じがして嬉しかったです。その直後ドライヤーで悪臭を浴びることになったのは気の毒なようで可笑しかったけど(笑) 

この回は興味と好奇心がテーマになっていますが、クラブ全体が、ただの興味本位だけでなく恐怖に立ち向かおうとするのは良い傾向です。

 クラブのメンバーが鼻をつまんでいるかのような声を出して、モンスターがどれだけ臭いかを表現していたのも良いですが、画の中の機関車たちは鼻を洗濯バサミか何かで塞ぐ描写がないのはとても不思議ですね。描き足したら自然だったのに

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 2Dになって、ようやく私がフランチャイズ内で一番大好きなキャラクター、ウィフが登場しました。本来であればAEG第1シリーズ第1話『トーマスのやくそく』から出るはずだったそうですが、コスト制限のためにやむなく出番をカットしたそうです。

ドームが金色で車輪が黒くなった以外、車軸配置はそのままだし色も変わらず汚れていてデザイン面では安心しました。顔も可愛いまま。大人枠では初めてのタンク機関車ですね。

 AEGのウィフは、ゴミ収集機関車というよりも、不用品をリサイクルで発明品を作る、発明家キャラクターとして再解釈されたようです。オリジナルのレッジとルースさんのアイデンティティを含めたような立ち位置ですね。そうすると彼らは出てこないのかな。サンディーに比べてその技術力は上手くいっていない事がほとんどのようですが、好奇心をたやさない、良くいえば環境のために諦めない熱意のある性格で描かれています。

これまで登場しなかったのはもちろん大人の事情ですが、ウィフが発明家であることを視野に入れると、長い間リサイクル工場の中に閉じこもっていたからという説が考えられますね。

 

 声優はUS版がカナダ人のジョー・ピングー。UK版はフレデリコやベレスフォードと同じマット・コールズ。

個人的にウィフはCG期のUK版で彼を演じたキース・ウィッカムが最高の声優だったと考えていますが、AEGではUS版のジョー氏が好きですね。彼のエネルギッシュなパフォーマンスは、ウィフをより面白く陽気なキャラクターにさせています。笑い声がすごく特徴的ですね。

UK版のマットは… ほとんどベレスフォードと同じですね…。

 

©︎Mattel

 ウィフの煙突に付けられた装置は彼の発明品"The Vroom 3000"。ゴミを燃料に動ける代物である代わりに排出される臭いがひどいという、環境に良いんだか悪いんだかよくわからないものですね(苦笑)。このように、AEGのウィフは、自分のリサイクル工場に運ばれた廃品物を発明品に使って何かに役立てようとするキャラクターになっています。

 ところで彼は蒸気機関車であるにもかかわらず、モーターがあると言及しています。ゲイターみたいな蒸気モーター機関車にでもなったんですかね? それとも脚本家が無知なだけなのか。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆

独創性:☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 エンタメ性があってちょっぴり楽しいエピソードでした。ウィフが出てきたのも嬉しいですが、肝心の物語は映画とかなり似ていて、やや平凡寄りに感じます。

 それにしてもAEG第2シリーズのタイトルカードが空の背景である割合多すぎませんかね。AEG第1シリーズも空背景のタイトルカードはありましたがこんなに連続していなかったはず。サムネに独自性がなさすぎる…。キャンベル監督お空好きすぎでしょ。

 

総合評価: 6/10

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