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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第3シリーズ第6話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S3 E06 『Nia's Green Surprise』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ジャヤ・ラムダス

内容: ニアたちはユニークな植物の世話をするために駆け回る。

 

【このエピソードについて】

 Green Surpriseというサブタイトルを見て、緑化、つまり植物に由来する物語だと悟りました。あらすじのユニークな植物とやらも気になるし、これは森を愛するヘンリーにそろそろ出番があるのでは!? …なーんて考えていたんですが、そうではなかったものの、それ以上の驚きがあったんです。

 

©︎Mattel

 機関車が花を運ぶならまだしも、花を育てるエピソードなんて馬鹿げていると思いますよね。いいえ、本作はそこが重要なプロットというわけではないんです。

 まず、アシマがAEG第2シリーズから続投を果たします。何の説明もなくソドー島にいるので、速攻で帰っていつの間にか戻ってきているヨンバオと違って、あれからずっと滞在しているのでしょう。要は『キレイなだけじゃない』の続きということです。しかも同じ脚本家によるもの。

 次に、ニアたちが運ぶ植物は、西インド諸島が原産であるヒメノカリス、別名スパイダーリリーです。何のために熱帯地域の植物が運ばれたのかは一切説明がありませんが、おそらくトップハム・ハット卿の発注によるものでしょうね。意図とは無関係かもしれません。そして梱包の大きさに比べてたった一輪の花ではありますが、アシマにとっての第2の故郷と思わせるには十分なようで、それ自体が尊いですし、それが花を枯らさないために躍起になる動機にも繋がっていて、理屈としては申し分ありません。

 

©︎Mattel

 動機のみならず、アシマの別の活躍があることも気に入っています。確かに『キレイなだけじゃない』でも、アシマは汚れ仕事とその力強さをトーマスの目の前で発揮して活躍を見せましたが、岳鉄道で働く機関車として丘の登り降りを楽にできる力強い走りをトーマスたちに見せるのは今回が初めてです。

この活躍は本当にオリジナルシリーズで観たかったですね。BWBA期では、フォーマットが脚本家にとって突発的すぎたせいなのかは定かではありませんが、彼女の特徴を押さえられないどころか案内役と理性的な役割以外の何者でもなくて、ただ可愛らしくてインパクトのあるだけの退屈な存在でした。この点に関しては、AEG(ネルバナ)の方がよっぽど女性キャラクターの活躍のさせ方が上手ですよね。普段の脚本はともかくとして。

 物語のテーマは「それぞれに役割がある」というありきたりなものですが、鉄道車両としてだけでなく、植物や包装紙にも繋げていることがこのエピソードのユニークな点です。だからこそのアシマの活躍です。パーシーの慎重さが郵便配達に役立っていることを仄めかす冒頭も『パーシー つぎのしごとをさがす』との連続性がありましたし、全て紐づいているんです。

 

©︎Mattel

 そうそう、ブルーノの扱い方も良かったです。古い路線を含めた地理を把握しているため急ぎで近道の時に役立つ様子は、『Bruno's Map Mishap』で抱いた私のちょっとした不満を適切な活躍として描かれて満足です。そしてヒメノカリスをソドー島で生かすために彼が与えたヒントは、AEGで最も関連性があるブルーノだからこそのアイディアといえます。彼らの仲間はいつも自閉症の特徴を理解して協力していますからね。

エンドクレジットでは脚本家のダニエル・シェアストロムとASANの協力を得ていることが表記されていましたね。ブルーノの台詞や思考には常に彼らが気を配って手掛けていることが伺えて心強く、嬉しく思います。今後もマテルが『セサミストリート』のジュリアみたいな決断をしないことを強く願っています。

 

 目的地への道中で仲間が増えていく様子はAEG第1シリーズ『にじをおいかけて』とよく似ていますが、ここでは何の関係もなくただついてくるのではなく、全員に役割と意味を持たせておりある意味『にじをおいかけて』の別の正当バージョンとも言えます*1

 

©︎Mattel

 物語は尊く、植物好きのニアの主役回としても申し分ないですし、彼女が"完璧な計画"系統のエピソードに縛られていないのも良い傾向です。サンディーが相変わらず植物に興味がないのはちょっぴり面白かった。

 全体を通して、私はこのエピソードに不満はありません。でも、敢えて不満を口にするとしたら、細かいことですが、以下の点が挙げられます。

ヴィカーズタウン広場のど真ん中にサボテンを含めた温室コーナーが出来上がるのは良いのですが、AEG第3シリーズ初回のミツバチの住処はどこへ移ったのでしょう? そもそも街の真ん中にミツバチの住処を与えたこと自体がおかしいので問題はないとはいえ、あれは一時的な仮拠点だったと捉えればいいんですかね。

もう一つは、もしトップハム・ハット卿か誰かがヒメノカリスを発注したとして、温室の建築を想定していなかったのはなぜでしょう。彼の性格を考えればよく確認していなかったのだろうと推測できますが、少々馬鹿げていると思います。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 ジェームスがいたずら貨車のいたずらに反応を示すのって初めてじゃないですかね?

 

©︎Mattel

 ウィフの活躍も良かったですね。彼の登場とガラスのコレクションは『大冒険! ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル』と全く変わりませんが、AEG第1シリーズ『サンディーは すながすき』などでウィフが砂を欲しがって溜め込んでいたこととの整合性がついたような気がします

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

遊び心:☆☆

キャラクター:GREAT

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆

独創性:☆☆☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 ジャヤ女史はいつも優れた物語を書きますね。アシマに関しては寧ろBWBA期での脚本家の扱い方が怠惰だったのですが、道徳とテーマ、それから植物の原産地を紐づけているところがとても気に入っています。今のところ、私にとってAEG第3シリーズで最もお気に入りの最高のエピソードです。

 

総合評価: 9/10

 

 

【AEG第3シリーズ総合評価】

1 What's the Buzz? 6/10

2 Bells are Ringing 5/10

3 Abraca-Diesel 5/10

4 Overcommitted 5/10

5 Sandy's Fine Mess 6/10

6 Nia's Green Surprise 9/10

 

 

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:一つ目は挿入歌で物語が進む『Salty's Sea Shanty』。