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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第21話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S2 E21 『Off the Rails

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ピーター・ガフニー

内容: ニアは巨大なアースボールをビーチへ運ばなければならないが、全ての路線が封鎖されていて、ボールが勝手に転がり始める。

 

【このエピソードについて】

 『Off the Rails』といえば、オリジナル第1シリーズ『ゴードンみぞにはまる』の原語版サブタイトルですね。文字通り線路から外れることを意味するのか、本題が逸れるのか。 AEGの機関車たちって自力で線路から離れられるのでどちらかといえば後者ですかね。再び出番が減ってきたニアがまた主役ということで、ではでは早速真相を確かめましょう。

 

©︎Mattel

 アースボールが転がった後、ニアは追いかけることばかり考えていたところを、弾ませて運ぶ計画に切り替えて困難な配達を終わらせるお話ですが…。

 全体を通してアクションが多くて楽しいけれど、内容は『ニアのおおきなふうせん』バージョン2.0のような感じがします。『Nia's Perfect Plan』でさえそれと似ている作りなのにまたやってるんです

さらに、貨車から離れて逃げていく巨大なアースボールを追いかける構図は、オリジナルS18『エミリーちきゅうをすくう?』と同じアイディアです。S22『ちゅうごくのすいしゃ』のレビューでも言ったかもしれませんが、こういうのは確かにカートゥーンにぴったりな演出ですし、スキフが出てくるのも嬉しいですが、海上から船の仲間が助けてくれることまで一致しています。

 何が最悪かって、それらの類似したエピソードと比べても、物語の中身が無いんです。歌以外にグッとくるようなセリフや演出すらない。S18『エミリーちきゅうをすくう?』は、エミリーが特別なことをしたいという願いが叶って調子に乗ってしまうのが本題でした。AEG S1『ニアのおおきなふうせん』は即興で解決することをテーマにしていて、『Nia's Perfect Plan』は計画した順番通りにいかないこともあると学ぶお話。

今回は? 一番最後の彼女のセリフが全てだと思います。「新しい計画をたくさん試せば、そのうち一つは上手くいく」。…風船の話と何が違うでしょう?

 でも幸い、『Nia's Perfect Plan』と比較すると、自分の身動きが取れなくなる前に計画の変更を早め早めで考えられていますしトーマスの助言を汲み取って自力で解決に赴くあたり成長が見られます。ヒントを得ながら自助努力できていますね。

 

©︎Mattel

 それで、過去の類似エピソードと違って挿入歌があるのですが、物語の中身がなさすぎて、せっかくいい歌詞なのにグッと来ないんです。「The World Has a Mind of Its Own」は、自分の行き先を探し、それを信じ、一筋縄ではいかない困難な挑戦を、希望に満ちた目で励む静かで明るいニアのソロ曲です。

伝えたいことはわかります。まんまるで広い地球のように多くの可能性が満ち溢れていることの比喩表現も素晴らしく単体ならメッセージ性に富んでいてとても良い曲ですが、如何せんそこに至るまでの内容も無いし、キャラクター同士の掛け合い自体が少ない故に歌は急に挟まれてどこからともなく出現した感じがしました。アースボールの弾み方と計画の変更だけでなく会話で気がつく場面でもあれば良かったのですが

 タリア・エヴァンスの歌声はかなり良かったし、UK版のシャーデー・スミスはAEG第1シリーズと比べ物にならないほど歌唱力が上がっていて素敵です。

 

©︎Mattel

 エピソード全体はアースボールを追いかけるアクションが重視されています。それが初めて観た時に「面白い」と感じた理由でした。ええ、アクションは今の評価を下してから見ても、それ自体は面白いです。しかし、ダラダラしすぎてストーリーテリングを放棄しているのが問題なんです。ニアの葛藤はただ「計画通りに運びたい」お約束展開だけだし。

 

©︎Mattel

 アクションの中のユーモアはかなり好きです。特に繰り返しとはいえ、パーシーの郵便物が三度もばらまかれるギャグは気の毒だけど笑ってしまうし、ダーシーのカメオ出演や、驚くヘンリーも面白かったですね。テスには相変わらずイライラさせられますが。彼女に役割があったら良かったのに。

 それから、配達を任せるのがゴードンかトップハム・ハット卿ではなくウィフだったのも良かったです。この方法でもっと他の大人キャラクターがスクリーンに長く映る機会が増やせるはずです。

 

©︎Mattel

 アニメーションは本当に素晴らしかったです。アースボールが橋から落ちて、弾んで戻ってくる場面は、自然で、立体的で、目を見張るものがありました。

 地図が不正確なことに関してはあまり腹を立てていません。よく見るとデンマークアイルランドが消えていて、場面によっては英国ごと消え、日本は韓国と繋がっています。でもオリジナルシリーズも不正確だったし、さらにデフォルメされていることもあって今後も変わらないと思います。伝わればいい。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 おおきなアースボールにすることでどんな需要があるのかはわかりませんが、ウィフのリサイクル工場で造られているものが奇妙な発明品だけではないのを見るのは嬉しいですね。

 AEGのソドー島は独立化だけでなく北米化しているのですが、ニアの目線からソドー島の位置が英国のあたりにあることがこのエピソードで明かされます

結局、英国ってことでいいんですね? なら尚更疑問なのが、何故列車の運行、ストラクチャー、野生生物、地形は北米風なのでしょうか。

 

©︎Mattel

 今回は線路を塞ぐシチュエーションを描くため、多くのキャラクターがカメオ出演しています。まず、ダーシーはAEG短編に登場するのは初めてですね。詳しいことは言いませんが、旗も立っているし『大冒険! ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル』の後日譚として描いているのは明らかです。AEG第2シリーズ後半からは彼女が登場するエピソードもあるんですかね?

 

©︎Mattel

 映画第1弾『めざせ! 夢のチャンピオンカップ』からファローナとフレデリコも、短編に初参加です。ダーシー同様喋りませんが、いずれ短編で彼らを題材にしたお話が来るといいなと思います。

自分の中では、吹替版のゲスト声優、YOUと藤井隆のおかげで彼らの魅力を見出せたのですが、キャラクターとしてはテス同様さほど好きではないんです。理由は… わかりますよね。そう、ぜひ本編で何かを学んで更生してほしいんです。

 

©︎Mattel

 ヘンリーもそろそろ喋りそうな気がしています。今回、少しだけ干渉があったのは良い傾向ですね。

 

©︎Mattel

 …泥棒では?

 

 

全体的な面白さ:☆

遊び心: FUNNY

キャラクター:☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:AMAZING

独創性:☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 「語らず行動で示す」手法は大好きだし、たまには本当に伝えたいことをセリフにしないのも良いけれど、中身がなくだらだらとアクションで誤魔化しているように見えました。挿入歌のテーマはとても良いのですが…。

 さて、彼女の成長は良かったし、AEGでのニアの性格を活かしているとはいえ、「計画通りに困難な配達をしようとする」以上のことはもう出来ませんか? 例えば彼女の頭の固さを欠点と捉えず長所と考えて活かすエピソードとかどうでしょう。

 

総合評価: 2/10

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