Z-KEN's Waste Dump

喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第22話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S2 E22 『Diesel's Dilemma』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: レキシー・カハノヴィッツ

内容: ある日ディーゼルは自分の強さを知られることが好きでないことに気づき、スピードが取り柄のケンジと仕事を交換する。

 

【このエピソードについて】

 ケンジといえば、オリジナル第24シリーズ(吹替え版では映画『おいでよ! 未来の発明ショー』)で最もインパクトがあると言っても過言ではないキャラクターですよね。見た目は0系まんまで日本人からしても馴染み深いデザインなだけにソドー島で一際浮いた存在でした。謙虚で挑戦好きだけど、特に『Kenji on the Rails Again』で描かれた"一人だけで何かを行うことに緊張してしまう性格"はとても共感するものでした。出番が少なくすぐ帰ってしまったのが残念で、個人的にはインパクトの割にサニーほど記憶に残ってないんですよね。

AEGでは『めざせ! 夢のチャンピオンカップ』での扱い方はカッコよかったですね。第1シリーズでは『いえをはこぶほうほう』でカナと協力する場面が描かれたのみでした。正直な話、まだケンジに惹かれていないのですが、この度で認識は変わるでしょうか?

 

©︎Mattel

 うおお。ディーゼルとケンジが並んで、2台で展開するお話が来るとは夢にも思っていませんでした。ケンジがトーマスやカナ以外と友達を作っているのは、真新しくてとても良いですね。

 さて、今一度言いますが、私は新作が過去のシリーズの焼き直しや同じアイディアを拾っているからといって低い評価を与えるつもりはありません。同じキャラクターが同じことを学んでいたり、全く同じ展開だった場合は低くしますが、それ以上のキャラクター開発や教訓があれば喜んで評価します。

 まず、今回の展開は、オリジナル第17シリーズ『ルークとミリー』がはっきりと脳裏に浮かんだ人も多いと思います。でも共通しているのは2台の鉄道車両キャラクターがお互いの仕事を交換するという点だけです。その作品は、自己紹介がてら張り合っていたルークとミリーがお互いの仕事の大変さを学びながら上達していく内容でした。

 

©︎Mattel

 今回のお話は「隣の芝生は青く見える」、「適材適所」を題材にしています。力自慢だから重くて特別ではない仕事を任されっきりのディーゼルが劣等感を抱くところから始まっていて、全く異なる内容となっています。

もっと遡れば、スピンオフ『Jack and the Sodor Construction Comoany』シリーズ(日本未翻訳)の没エピソード『Grass is Greener』が近いですが…、これは公開さえされなかったので比較にはなりませんね。

 さらに気に入っているのは、彼らが「新しいことに挑戦する」ことを物語と紐づけていることです。これはオリジナルのケンジもその片鱗を見せていましたね。AEGのケンジは蓄電池仕様にも関わらずオリジナルと違ってその状態でも速く走る事が可能なようですが、『Kenji on the Rails Again』ではサラッと見せられた程度だった、重い貨物を牽く挑戦をすることを、AEGではアイデンティティを削る事なく丁寧に掘り下げている感じがしました。最も、2D版初登場の時点で世界中のレースに出ていることを考えると理に適っています。それだけでなく、口笛を吹くことも新たな挑戦として試みていたのも印象的で良かったです。

 ディーゼルも自分の適材適所と、責任を学び、迷惑をかけたことを自覚するほか、ケンジとの友情を育むなどの進展があったのも良かったですね。

 

©︎Mattel

 AEGのレビューでは「鉄道らしさ」を評価対象として取り入れていないのですが、それらしい要素があったのは嬉しい誤算でした。オリジナルと同じように大きさに関係なく能力差があるんです。なぜ鉄道車両に大人と子どもがいてサイズの差があるのか、年齢で成長したらどうなるのかは未だに謎ですけどね。

ディーゼルはオリジナル同様、島でもゴードンに匹敵する力強さを誇っていて、ケンジは速く走る設計であるため、(実機で言えば元々"機関車"ではないので)、重い貨物を運ぶための牽引力を持ち合わせていないといった、生物の能力とは違うところを見せていたのはかなり良いです。オリジナルで有無を言わさず蓄電池機関車に改造して無意味にアイデンティティを削ぎ落としたことよりずっといいとさえ思います。

 

©︎Mattel

 いくつかの問題点はありますけどね。まず、本題に入るまでが長過ぎます。物語のテンポ自体は悪くないですが、仕事を交換したのはほんの一瞬程度でした。

 もう一つは、批判ではなく提案なのですが、最後にディーゼルが特別な仕事を引き受けたことを何気なく描写する前に、ゴードンかトップハム・ハット卿と話し合う一コマでもあれば良かったのにと思いました。時々任される時もあるという話なのでしょうけれど、事故を起こした経緯を話してから不満を解消する方がより効果的だったのではないかと思うんです。あるいは、学んだばかりの責任感を活用して、ケンジの前では普段通り岩の配達をしているところを描いて「その翌日に特別な仕事をさせてもらえることになった」と言及させるのがお話の締まりとしてベターではないかと。

 そうそう、脱線シーンの時に客車ごと転がっていたのはゾッとしたんですが、本当に客が乗ってなくて安心しました。いくらデフォルメされていても、客車の脱線は洒落にならないですからね。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 ケンジの客車が2Dで初登場し、同時にソドー島で急行旅客列車をすることも判明しました。しかし、なぜケンジと色が合ってないのでしょうか?

それと、今回修理を受けてパワーアップすると言われているカナは、近々その能力を発揮する日が来るということでしょうか?

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 いくつかの欠点があり、オリジナルとの類似点も多いですが、『Kenji on the Rails Again』のまとまりのない違和感よりずっと良く、道徳も優れていて面白かったです。ディーゼルとケンジの相互作用も素敵でしたし、今後もケンジが役割を担って出てくることを願います。

しかしどうして注目すべき話ほどタイトルカードは空の背景なのか…。

 

総合評価: 9/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。