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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第23話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S2 E23 『Bring It on Beresford』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: デニース・ダウナー

内容: 最も大きな松の木を運びたいトーマスとディーゼルは、他の木を早く届ける競争に熱意を注ぐ。

 

【このエピソードについて】

 ベレスフォードの名を冠したエピソードが来るということで、ここ最近で一番楽しみにしていました。AEGのベレスフォードは『Hot Air Percy』と『Diesel's Dilemma』で見る事ができますが、まだ謎に包まれていて、オリジナルと性格と役割が全くもって異なる分、どう扱われるのか非常に気になっているんですよね。

彼にスポットライトを当てた初めてのエピソードということで歴史的な瞬間になるかもしれません。では見て行きましょう!

 

©︎Mattel

 率直にいうと期待外れでした。ものすごくね。これはベレスフォードの主役回と思わせておいて、ただトーマスとディーゼルが競争でお互いにしのぎを削るだけの使い古されたプロットの一つなんです。

スーパーマリオブラザーズ』シリーズで、毎回ピーチ姫が拐われてマリオとクッパが対決するお馴染みの展開と同様に、AEGのトーマスとディーゼルは競走するチャンスがあると競り合いを始めるのがシリーズの鉄則なのかもしれません。個人的には一向に構わないです。こういったお約束ものは正直嫌いではありませんし、第1シリーズを観始める前から予測可能なことでした。マリオとクッパもたまに共闘しますし。

 でも、今回はそれ以上に問題だらけです。まず、トーマスが自身の力を見せようと手伝いを断るエピソードは今期のうちに既に行ったじゃないですか。『デンキがない!』も、ただでさえ穴埋めっぽいのにも関わらずです。なぜ同じキャラクターに同じことを学ばせる必要があるのですか? このシリーズは脚本家同士で打ち合わせしていないのでしょうか?

 

©︎Mattel

 特別な木のために他の仕事を速く済ませた機関車がそれを運ばせてもらえるという点は、映画『ミスティアイランド レスキュー大作戦!!』みたいですよね。ちょうど同じトーマスとディーゼルですし、ヒントを得ているのかもしれません。

 2つ目の問題はそのアイディアの流用ではありません。見ての通り松の木とても背が高くてでかいんです。描写されている通り、そのまま立たせて運べばベレスフォードやトンネルに引っかかりますよね。(その前にブレンダムのソドー配送倉庫にぶつかっているはずなのですが)。明らかに特別で重要そうなのに、なぜ誰もそのまま運ぶことに疑問を持たないのでしょう。重さ以前に運ばせ方に問題があるようにしか見えません。

そうしないと物語を展開する事ができない設計になっているのも問題なのですが… まあそれは細かい点に過ぎません。巨大な松の木がベレスフォードにぶつかって倒れる場面はシュールで可愛らしい瞬間でした。彼のおおらかさが好きです。

 

©︎Mattel

 3つ目の問題は、ベレスフォードの登場自体が作為的に見えることです。彼は本筋と結びついておらず、単に話の本筋に乗っかっているだけなんです。描写していることは「そこへ行って何かをする」であり、そう見える理由はベレスフォードの葛藤や対立そのものが無いからです。そもそも通常彼はどこにでも働きに行けるようですが、周りに機関車も貨車もいないブレンダムの内陸で作業する理由はなんでしょう?

 内容はオリジナル第10シリーズ『エドワードのしっぱい』に近いです。エドワードが彼らしからぬ主体性を持たない行動をとる、悪名高いエピソードの一つですが、今回は筋書きが淡白とし過ぎていて、エドワードのキャラ使いを大目に見れば彼の葛藤やロッキーの居る意味があるそちらの方がずっと面白く見えてしまうんです。自力で走れないロッキーと違ってベレスフォードは自ら動けるのにね。

 物語の最後のベレスフォードの照れ顔は本当に可愛らしいのですが、物語は彼に関することを何も紐付けず『デンキがない!』を繰り返しているだけなので本当にイライラします。いっそロッキーみたくベレスフォードが見くびられていたら意味のある場面になったと思うんですよね。AEGのベレスフォードは大仕事に自信がない様子が『Hot Air Percy』で見受けられるので、それを題材にしてほしかった

 

©︎Mattel

 物語のテーマは「何ができて何ができないかを正直に話すこと」です。挿入歌「What I Can Do and What I Can't」の歌詞の内容がまさにそうですよね。これ自体は良いテーマですし、本来トーマスとディーゼルの競走より重点におくべきことでした

挿入歌は前半がラップ調、後半がポップ調となっている特徴的な曲です。ラップと言っても、自己紹介に過ぎないのですけどね。ベレスフォードは重いものを持ち上げられるけど、跳ねて移動するヒキガエルより速く移動することはできないようで、ちょっとしたユーモアのある歌詞が好きです。本物のガントリークレーンも移動遅いですし。

また、前回同様ディーゼルの能力もここで語られています。力持ちだけど速く走れるわけではない。トーマスが10トン以上の貨物を運べないという設定は初めて聞きましたね。

 US版のベレスフォードの歌声は安定していますが、UK版はひどく耳障りでした。キーが合わないのか高い声で歌うのですが、これがベレスフォードに合わない上に聴いていて調子が狂う。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 「どうやって来た選手権」優勝おめでとうございます。

 

©︎Mattel

 トーマスとディーゼルの競走シーンはテンポが良くてユーモアがあります。特にディーゼルがトーマスを突き飛ばすところは、制作者の意図に関係なくても、クラシック期を彷彿とさせました。

 

 

全体的な面白さ:BORING

遊び心:☆☆

キャラクター:☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆

独創性:☆

道徳:☆

 

【最終的な感想】

 この点数をつけた理由は、もちろんベレスフォードがさまざまな場所に行けることではなく、単に物語の中身がないからです。いずれ彼にも一貫性を持たせて欲しいなとは思いましたけどね。対立はトーマスとディーゼルのフレネミーではなく、ベレスフォードに焦点を当てるべきでした。

 今期も当たり外れが激しいですね。ベレスフォードが再び悪い方向に引きずり込まれるのはとても悲しいです。性格はオリジナルと180度違いますが、可愛らしく描かれている分より一層好感が持てるし、もっと多くのことができるはずなのに。

 

総合評価: 0/10

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