※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

AEG S4 E10 『Moo-ving Friendship』
脚本: トレイシー・ニコレッティ
監督: キャンべル・ブライアー
内容: ディーゼルは勝者のウシを運びながら、人生には勝つこと以上のものがあることを学ぶ。
【このエピソードについて】
ディーゼルの主役回が続きますね。加えて動物絡みのエピソードの多いこと。ダジャレ的なサブタイトルは気に入りませんが、良いエピソードであることを祈ります。

内容はあらすじの通りです。どうやらこの世界には農業にもブルーリボン賞があり、ディーゼルはその"プリンセス"と呼ばれる、最も受賞した経験のある牝牛をヴィカーズタウンへ運ぶ仕事を任されます。ここはかなり適任ですよね。AEGのディーゼルは大大大冒険クラブの中で最も牛に慣れていて、牛たちと仲良しだからです。加えて、ソドー島の中でも、メタ的にも彼はカナ以上に勝ちに拘るタイプです。

実際にはプリンセスはファンから賞賛を浴びることに興味はなく、普通の人と同じようにはしゃぎ回ることが好きなおてんば姫であることが判明します。
こういった設定は『ローマの休日』を始めとした様々な創作で散見されるので、あまり新鮮味はありませんね。きっとアン王女が元ネタなのでしょう。
『きかんしゃトーマス』で言えば、オリジナル第14シリーズ『ワクワクするぼうけん』が一番近しいかもしれません。そのエピソードでは、トップハム・ハット卿のお母さんが年相応の落ち着いた老婆だと勝手に思い込んでいたら、実は冒険好きの若々しい性格だったことが判明します。その真相が早い段階でわかるのが今回だと思えば伝わりやすいかな?
そこからの流れはAEG第1シリーズ『トーマスのあたらしいけしき』に似ています。ディーゼルがプリンセスを喜ばせようと、プリンセスの興味のないコンテストそっちのけでソドー島のあちこちの"楽しい場所"に案内してははしゃぎ回ります。
でも、元ネタを知らない子どもには楽しいかもしれません。プリンセスが楽しそうに無言でカウベルを揺らす様子は可愛いですし、ディーゼルの楽しそうな様子にはほっこりします。

私はこのエピソードの教訓と、トップハム・ハット卿がプリンセスの現状を認めるところが好きです。直接喋る人間キャラクターが相変わらずトップハム・ハット卿(と、長編でのサンタクロース)しかいないため、審査員も彼が務めることになっているのは現時点での不満であれど致し方ないとして、ディーゼルの思いやりと、楽しみを共有した時間という特別賞をディーゼルが既に与えていることを褒める場面は心が温まります。
このエピソードを機に、ディーゼルが勝ちにこだわらなくなるとは考えにくいですが、少なくとも勝ち以上の出来事を得たことは忘れないでほしいですね。

人物といえば、オレンジ色の服を着た男の子が劇中で3回ほど「Yay」と棒読みで通り過ぎていくシュールな描写を挟むのが少し気になりました。日本語吹替版のアドリブみたいに、他の人間も喋れるようになればいいんですがね。
【チェックポイント】

農業コンテストの審査員もできて、お得意のタップダンスを披露するAEGのトップハム・ハット卿、本当に芸達者ですね。

おっと、こちらも芸達者でした。美容師サンディー。

2Dになってもパーシーが紳士的なのが好きです。
全体的な面白さ:☆☆
遊び心:☆☆☆
キャラクター:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆☆☆
独創性:☆
道徳:☆☆☆
【最終的な感想】
良い道徳を持つ、ほっこりするエピソードだと思いますが、ディーゼルの任されたロイヤル・ツアーが彼の独断で長引いたことを少しでも反省する台詞が欲しかったです。それか、コンテストに行きたがらないプリンセスの気持ちを汲み取ってディーゼル自身も拒んだりするか、何らかの葛藤があれば、その相互作用はもっと面白く、強いエピソードになったのではないかと思います。個人的にはふわっとしすぎた手触りでした。物語はまあまあです。
総合評価: 6/10
【AEG第4シリーズ総合評価】
1 Sheep Stampede 7/10
2 The Berry Best 6/10
3 Creepy Crawly Courage 8/10
4 Windmill Woes 5/10
5 Quacking Quandary 7/10
6 The Stinking Delivery 6/10
7 Don't Train on My Parade 3/10
8 Shiny Spiffy Sandy 8/10
9 Diesel's Bad Day 6/10
10 Moo-ving Friendship 6/10