※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S4 E08 『Shiny Spiffy Sandy』
脚本: カーリン・グリーンバーグ
監督: キャンべル・ブライアー
内容: 機関庫のオープンハウスのためにピカピカでいなければならないが、陥没穴を塞ぐために再び汚れてしまう。
【このエピソードについて】
今期中の早い段階でカーリーの主役回がありましたが、それならば当然サンディーにもありますよね? ええ、ええ。ありました。タイトルにサンディーが入っているものの、あらすじからはサンディーを感じられなくて、一体どう紐付けした内容なのか今のところ一番気になっています。早速見ていきましょう。
そうですね、確かにサンディーの主役回ではありますが、どちらかといえばサンディーの周りを取り巻くエピソードでした。
物語の流れはオリジナル第17シリーズ『スクラフのだいへんしん』に似ていますね。洗車を怖いと思っていたスクラフが実際にボディを磨いてもらってから考えを改め、他の機関車と同じ仕事をしたがるも、自分の勤めを果たす方が良いことに気づくというお話でしたよね。
似ていると言っても、大きく異なる点が3つあります。
まず、サンディーが考えを改める話ではないことです。先述したように、サンディーの周りの機関車たちやトップハム・ハット卿の価値観が今回の出来事で変わるといったところです。機関庫のオープンハウス(なんのためにするのかは謎ですが)に向けてピカピカでいなければならないという考えに固執しますが、事故の後片付けをして泥だらけになった姿に価値を見出すというものが今回の本筋なんですね。
2つ目に、その泥と傷だらけになったボディ=頑張った姿をトップハム・ハット卿や観客に肯定されること。『スクラフのだいへんしん』ではウィフに認められて、まあいつも通りの日常がなんだかんだ良いみたいな感じに落ち着くのですが、オリジナル版では第8シリーズ以降、トップハム・ハット卿は機関車たちを常にピカピカでいる必要があると考えるきらいがあるんですよね。
それゆえ、第6シリーズ『トーマスとパーシーとキーキーごえ』でのアリシア・ボッティや、"清潔でいる前に役にたつ機関車であること"をテーマにした『パーシーのチョコクランチ』と同じスピリットを感じられて、加えて私はその教訓が好きなので(だからこそウィフを愛してやまないんです)、とても良かったです。
最後に、ボディがきれいかどうかだけに焦点を当てた話ではないことです。個人的に子どもにとって得になる道徳がある話は大好きですが、道徳に動かされる物語や、道徳だけに焦点を当ててその一点張りで展開するお話は説教くさくてあまり好きではありません。
中盤には、オープンハウスを控えたティドマス機関庫のそばに空いた陥没穴を塞ごうと頑張る展開があります。日本ではタイムリーかつ不謹慎かもしれませんが、当然単なる偶然です。オリジナル第1シリーズ『あなにおちたトーマス』とか、映画『謎の海賊船と失われた宝物』だって陥没事故を元ネタにしたお話ですからね。というか、そっちを思い出しました。観客を運ぶための通り道であるので、話の導線としても良いです。
私がこのエピソードで本当に驚いたのは、クランブルの谷のあのボルダーみたいな大岩を利用するところです。今期初回『Sheep Stampede』にて、意図的に転がして谷を通り抜ける場面があった時点で、今期中のどこかでこの大岩が地上を転がり回るエピソードがあるんだろうと考えていましたが、まさか転がるのではなく、転がして誘導することになるとは。こういうのが見たかったんですよ。谷の外を転がってるところも見れて、それが役に立ってるところも見られて見栄え的には一石二鳥ですね。
クランブルの谷を通る時、ほぼ必ずと言っていいほど、この大岩に追いかけられる場面を4シリーズも通して見ていて、第2シリーズの時点で見飽きたところだったので、穴に落ちてくれたことでもう見ずに済みそうです。それでもまた大岩が蘇えることになるのでしょうけれど。
オープンハウスというのは、一般的に売り出し中の家を希望者に公開することを意味しますが、他にも、誰でも無差別に受け入れるパーティーや、学校や寮の一般公開を指すこともあります。今回の場合は後者の方でしょう。
ティドマス機関庫の一般公開に関しては、他の機関車を囲うように人々が集まっている光景的にも原作13巻の「ドームのない機関車」や、オリジナルシリーズ初期のエンディング等を彷彿とさせますね。トップハム・ハット卿の最後の紹介も相まってほっこりしました。ところで今回珍しくパーシーが一度も出てきていないのはなぜでしょう。郵便配達で忙しかったんですかね。
【チェックポイント】
いつも砂まみれで汚れているサンディーがピカピカに磨かれる様子を見ることができます。それ以前のお話でも洗車場に入る描写はあるのですが、完璧には汚れが落ちておらず、ここまで綺麗なのは初めてということになります。芯が強いのか、スクラフと違って自分がピカピカになっても価値観は変わりませんでしたね。
このエピソードでは全体を通してトップハム・ハット卿と一緒にウィンストンがアップで映ったり、さまざまな表情を見せてくれますが、前期『Driving Winston』以来、ウィンストンは一言も喋りません。一言二言だけのために声優を呼ぶのが難しいのかもしれませんが、正直ウィンストンが初登場した時点でこうなるのは簡単に予測できました。でも、ちょっと寂しい。
この並びよくないですか?
全体的な面白さ:☆☆☆
遊び心:☆☆☆
キャラクター:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:GREAT
独創性:☆☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
『The Stinking Delivery』ともほぼ似たり寄ったりな教訓ですが、こちらの方が良く描かれていると思います。2Dカートゥーンアニメーションの良さを活かしながらこれまでで珍しい描写もありましたし、トップハム・ハット卿および他の仲間たちにも学びがあったのも良く、面白かったです。
総合評価: 8/10
【AEG第4シリーズ総合評価】
1 Sheep Stampede 7/10
2 The Berry Best 6/10
3 Creepy Crawly Courage 8/10
4 Windmill Woes 5/10
5 Quacking Quandary 7/10
6 The Stinking Delivery 6/10
7 Don't Train on My Parade 3/10
8 Shiny Spiffy Sandy 8/10