※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S1 E12 『Counting Cows』『かぞえて モーモー』
監督: ジェイソン・グロー
脚本: リズ・ハラ
内容: トーマスとパーシーは10頭のウシを運ぶ手伝いをするが、ウシたちは貨車から脱走する事態に。
【このエピソードについて】
『きかんしゃトーマス』シリーズで家畜車や牛を扱う作品は数多く存在します。S2『せんろのうし』などの良作もあるなか、長年のファンに最悪の家畜車系統のエピソードは何かと尋ねたら、満場一致でS15『グラグラのきてき』が選ばれると思います。前にも話しましたが、鉄道の安全性が全く足りておらず、怪我人や死人が出る可能性があり、トーマスが全く空気を読まない非常に馬鹿げたお話でした。その次のS16『どろんこジェームス』では改善したかのように見えて、発端は安全性の欠如による物でした。S19『たいせつなひつじ』はさらに改善されており、私も好きなエピソードの一つになるくらいリラックスして観られる作品です。
さて、AEGの家畜車の話はどうでしょうか?
あまり語ることのないエピソードですが、家畜車から動物が同じように逃げ出す前例を挙げた3つとはまた解決方法と教訓が異なっています。教訓は「注意を払う」というもはや毎年あるお約束のものです。
『グラグラのきてき』はマッコールさんに言われるまで自分が動物を怖がらせていたことに気がつかず、『たいせつなひつじ』も同様ですが後から来たトーマスの列車で回収されるという感じでした。序盤で動物が貨車から出て行くことに気づいたという点では『どろんこジェームス』が最も近いと言えます。
今回の『かぞえて モーモー』では、気づいた時点で問題解決に勤しむのが特徴です。放送前に出たマテルのプレスリリースによれば、「自助努力(Self-help)」の例にこの回を挙げています。AEGのほとんどのエピソードがそれに繋がっていると思うので特別感はないのですが、少なくとも従来のシリーズで動物を逃がしていることに気がついていない物語を経験している両者が、別の次元では一歩成長してるとの見方もできるでしょう。
それにしても最初の頃のジェームスは、挨拶か文句か絶叫か口笛しかしてないっすね。
単に10を数えるだけでなく、逃げ出した牛を発見する方法に、牛の柄(Spot)を注視したり、こっそり見てるものなんだゲーム(My I Spy)で"遊びながら集中"したり、鳴き声を真似して視覚と聴覚(耳ないけど)で探し当てるなど様々なやり方を駆使して解決に取り組んでいるのも特徴ですね。仕事の合間も遊び心を忘れない、それがAEGシリーズです。
日本語吹替版では尺の都合でカットされて残念でしたが、牛が脱走した理由を把握する場面もあります。理由を知るのは大事なことです。
ただ、エピソードの中に牛のダジャレが多すぎて、とても安っぽく見えるんですよね。それが面白くさせる工夫を意図しているのかは分かりませんが、やりすぎなことで逆に古臭く感じ、価値を下げていると感じています。従来のシリーズにも、特にS20『マイクのきてき』で牛のダジャレはありましたが、それまでの作品ではダジャレは貴重で、仲間の失敗をからかう時などに役立っていました。
「Old McDonald Had a Farm (ゆかいな牧場)」の替え歌もダジャレと同じくらいとてつもない回数が散りばめられていて、あくびが出ます。最後のゴードンの美声はUS版と日本語吹替版ともにとても良かったですが。特にニール・クローンは奇しくも『魔法の線路』でディーゼル10役も担っていて、同じように替え歌を歌ってたこともあって、『魔法の線路』ファンは歓喜したんじゃないですかね。知らんけど。
そういえば、AEG放送開始直前に、童謡をトーマス風に替え歌アレンジしたアルバム「Nursery Rhymes」(日本語未翻訳)の中に「Old McColl's Farm」という楽曲があったなぁ。
そうそう、これこれ。
【チェックポイント】
アイスクリームの屋台を表現するために、トーマスは「美味しいもの(Super yummy)」と、表現していますが、流石のAEGの機関車たちも食事自体はしないそうです。じゃあその表現どっから来たんだよ。
従来のトップハム・ハット卿なら怒るやつ。
全体的な面白さ:BORING
遊び心:☆☆
キャラクター:☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆☆
独創性:☆☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
早期に事態を収束させようとするので、『グラグラのきてき』の何倍も良いです。しかし、ダジャレがやりすぎなのと、牛を探すことの繰り返しなので、あまり面白いとは思いませんでした。
総合評価: 4/10