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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第2シリーズ第17話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S2 E17 『Snowplow Struttin'』『ウキウキゆきかき』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ニキ・リットン

内容: 雪が降る前に配達を終わらせる必要があるトーマスは仲間と仕事のために責任を持って雪かきを使うことを学ぶ。

 

【このエピソードについて】

 なぜか間に春または夏のエピソードが挟まれましたが、雪かきに関するエピソードがきました。『Whiteout!』でも付けていましたけど、AEGで雪かきについて触れられるのは初めてですね。AEGではどのように雪かきが扱われるのでしょうか。先に放送された2つのクリスマスエピソードは良作でしたが、これも楽しいものであることを願っています。

 

©︎Mattel

 うーん、否。『ぎゃくにするひ』以上に最悪のエピソードかもしれません。

冬に入り、雪かきを使うのを待ちきれないトーマスが忍耐と仕事への責任感や集中力を学ぶエピソードなのですが、何が気に入らないって? トーマスが雪かきを気に入っていること? いいえ、"別の次元"の一言で片付けられるし、オリジナルシリーズでさえS17『トーマスとゆきかき』で苦手を克服しています。

ブタを雪かきでどかすこと? いいえ、漫画的な解決方法がAEGのアイデンティティです。カウキャッチャー(ならぬピグキャッチャー)の要領で意味も果たしている点では、それほど否定的になれません。問題はそこじゃないんです。

 

 ええ、全体を通して表現したいことはわかります。集められた落ち葉を祓ったり、汚い水溜りにいきおいよく飛び込んだりしたがるような子ども心を描いているのでしょう。でもそれらは倫理観を破綻させなければ表現できないことなのでしょうか?

このエピソードのトーマスは倫理観が極端に崩れているだけでなく、例え方は悪いけど、まるで薬物中毒者みたく取り憑かれているかのように、真っ白でふわりと飛んでいきそうなものを見るたび掻き分けようとする風に描かれているんですよね。子どもとは、一度やりたがると、どうしてもやりたがるので心理的には合ってはいるんですけど、やってることが結構ひどいんです。

彼らは機関車ですが、人前でタンポポの綿毛を吹き散らかすのは危険なので絶対にやめてください。みんな注意するだけで止めようとしないし。人間の耳をディーゼルの吸気口と関連づけてもいいのでは? ショートアニメ『ドタバタかみふぶき』みたいに。

 

©︎Mattel

 ディーゼルとパーシーが「これは雪じゃない」と注意しながら話を聞かずに、ジェームスの落とした小麦粉やら農場の干し草やら何でもかんでも掻き分けるのも見ていてイライラするし、特にカモメのくだりは、傷つけないやり方で行うとはいえ、流石にライン越えです。『きかんしゃがっこう』シリーズってどの時系列なんでしょうね。

オリジナルシリーズで悪名高いS15『グラグラのきてき』を思い出します。それは動物を危機に晒す可能性が考えられた描写があっても故意ではありませんでしたが、今回は意図的にカモメに向かって雪かきで祓おうとするので、もっと悪いですディーゼルのバッファービームを凹ませるくらいです、人が飛び込むのとは訳が違うじゃないですか。

 

©︎Mattel

 ディーゼルのバッファービームといえば、雪かきで誰かを物理的に傷つけるのはかなり斬新でしたね。でもそれはそれとしてトーマスに自覚があるのかあやふやなのはひどい。

ディーゼルに理性があるところを見られたのは嬉しいですが、逆に今回のトーマスはいつにも増して極端に理性がなさすぎで、みんなに迷惑をかけるキャラクターとされているディーゼルや、ずっと子供っぽいパーシーにまで呆れられているのを見るのは、可愛くて面白い半分、悲しい半分です。雪かきを振り回すことでどういう被害が発生するかだけでなく、タンポポの綿毛やカモメ、集められた落ち葉にいたずらをすると誰がどう迷惑するのかも忠告しなければ、繰り返し行う可能性もあるし、忍耐と集中を覚えさせるためでも、これだけでは何も身につかないと思います

終盤の雪かきを外そうとする葛藤も見てくれは薬中のソレで痛々しいし、最初からバカバカしいので見ていて複雑な心境になります。

 

©︎Mattel

 線路の上のブタも、カーリーとサンディーが洗浄していたことを考えても、最初から線路にいるブタの大群が描かれた作画的にも、"スーパー"遅れてるとしても、泡を掻き分けたトーマスのせいでブタを怖がらせたとは伝わりにくいですよね。ゴードンから責められるのは控えめに言って意味がわからなかったです。

 ブタを雪かきで移動させるときに流れる挿入歌「Plow to Have Fun on the Job」。一番最初の歌詞がこのエピソードの心理ですね。最後は仕事の楽しみ方だという歌詞の間に「KA PLOW!」が入るのを繰り返すだけだし、間に音楽が止まる「You Can't Stop Me」と違ってメロディが掴みにくい歌だなあと思います。でも個人的には歌うより教訓を重視してほしい

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 ジェームスは今回もトラブルに巻き込まれています。

その上で配達途中の小麦粉を散らされるのあまりにも気の毒。

 

©︎Mattel

 こちらも気の毒ですが、わなわなしてるディーゼルくんは正直可愛かった。

 

©︎Mattel

 唯一褒められる点は、雪が降り始めた景色のソドー島です。これは『Christmas Mountain』や『Whiteout!』では」見られなかった光景ですね。

 

 

全体的な面白さ:☆

遊び心:☆☆

キャラクター:AWFUL

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆

独創性:☆☆☆

道徳:BAD

 

【最終的な感想】

 秋が終わったばかりのような感じなので『Christmas Mountain』より前に放送するべきだったのではないかと思いますが、物語自体は痛々しいレベルでバカでした。地の底に落ちた倫理観はギャグアニメだったら文句のつけようはないかもしれませんが、忍耐と集中力と責任感を学ぶ教訓的なエピソードに相応しい演出ではないですよね。いくつか独創的な瞬間はありますが、子供にとって有害な道徳が含まれています。

ここまで忍耐の教訓を含んだエピソードが多数存在していますが、あまり覚えられていないことを見るに、AEGのトーマスは楽しいことを我慢できない性格がベースってことなんですかね。まあ…『しずかにはしろう』とかまさにそうか。

 

総合評価: -10/10

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