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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第15話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

AEG S1 E15 『Chasing Rainbows』『にじをおいかけて』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ブランドン・ヴァイオレット

内容: トーマスとカナは虹の先っぽの宝物を目指してソドー島を駆け回る。

 

【このエピソードについて】

©︎Mattel

 トーマスで虹を追いかける話といえば、S9『トーマスとにじ』ですね。嵐の翌日にエドワードから虹の先っぽに素敵なものがあるという言い伝えを信じて虹に夢中になりすぎて失敗するお話でした。話を聞かないのはその当時ではいつものことでしたが、少し変な部分はあるものの、7分前後の中で構成がしっかりとしていて、友達の存在を示したエンディングは素敵なもので気に入っています。

 AEGの虹を追いかけるお話も根本的には一緒で、雨上がりの後に虹の先っぽにある宝物を見つけに駆け回る展開なのですが、なんと11分前後も尺がある割に中身がないのです。決定的な違いはあります。トーマスとカナの2台だけでなく、徐々に仲間たちが集まってきて最終的に同じ目的地にたどり着きます。もう一つは、最後に分かち合うという教訓があることです。そして最も良かったのはぬるぬる動くアニメーションと、ルックアウトマウンテンの廃駅です。廃駅ってワクワクするよね。

日常的な文化に詳しくないのでわからないんですけど、英語圏では虹の先に何かがあるという伝承は共通認識なんですかね。「こういう話がある」と導入をするでもなく、唐突に黄金のライトだのピカピカの車輪だのを勝手に期待して走り出すので少し置いてけぼりにされました。

 

©︎Mattel

 物語の大部分は挿入歌「Chasing Rainbows」で構成されています。「I'm Gonna Chug」よりも歌う頻度が高いです。音楽はノリノリで聴き心地がよく飽きも来ません。ただ、歌詞を見ての通り、虹の先に何があるのかを想像する歌というだけで、ミュージカルみたいに特に中身があるわけではないんです。

歌がない部分でも、端っこだと思った場所がそうではなかったり、何かを発見したところに他の仲間が次々にやってきて、ただ一緒に追いかけるだけ。目的地までに何か進展があったかといわれれば、ディーゼルがルックアウトマウンテンの秘密の入り口を見つけ(日本語吹替版では尺の都合上カット)、どこからともなく現れたカーリーとサンディーが途切れた線路にレールと枕木を急いで敷いてくれたくらい。

 

©︎Mattel

 途切れた線路といえば、このAEGシリーズの機関車たちは、自力で線路の上を跳ねたり、自ら脱線してまた自ら線路に戻ってくることができるのに、どうしてこの回では律儀に途切れた線路を登らないのでしょう。砂が満杯に積まれた貨車を牽いてるわけでもないのに。それが虹が消えかかっている状況で起こるので、ハラハラするよりも、腹が立ってきます。AEGに一定の「統一」と「制限」を持たせた方が上手くいくのではと思った瞬間です。

 

©︎Mattel

 物語の中には、きっかけも葛藤も何もないため、残念ながら同じ目的を持つ同士のラストの素敵な場面も輝かしい道徳も響かず、退屈で当たり障りのない物です。挿入歌が無かったらもっとつまらなかったかもしれませんが、歌だけで構成するなら、歌にストーリー性を持たせてください。

 

 

【チェックポイント】

©︎Mattel

 第15話で初登場する、ルックアウトマウンテン(トーマス命名)。大大大冒険クラブの拠点として今後のエピソードに頻繁に登場し、長編第2弾では舞台にもなります。

まだまだ多くの謎が隠されていそうでワクワクするロケーションですよね。

 

©︎Mattel

 中身の割にアニメーションは本当に素晴らしかったです。まさに2Dの絵なのに、3DCGのように自然と立体的に見える瞬間があります

 

©︎Mattel

 虹の描写も美しかったですね。

 

 

全体的な面白さ:☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:BEAUTIFUL

独創性:NOTHING

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 完全に憶測ですが、単純で平和的にハッピーエンドを迎えたいと思ったのかもしれません。単純で分かりやすいのは未就学児向け作品にはいいことですが、道徳のあるシリーズの場合、単純化しすぎて物語の構成を無くすと、道徳が響かない当たり障りのないものになります。S22『トーマスとパンダ』が良い例です。あれはもっと酷いけど。申し訳ないけど、虹を追いかける話ならば、私はS9『トーマスとにじ』の方が何倍も好きです。これでは単なるルックアウトマウンテンの紹介でしかないです。

 あと文句じゃなくて単に不可解なんですけど、Gentileをジェヌールとネイティブ発音に表記しておいて、なぜVioletteはビオレットなんですか。

 

総合評価: 2/10

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