※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S1 E44 『Hide and Surprise!』『かくれんぼ びっくり!』
監督: ショーン・ジェフリー
脚本: レキシー・カハノヴィッツ
内容: パーシーとかくれんぼをしていたディーゼルは誤って海に浮かぶ艀に取り残されてしまう。
【このエピソードについて】
本放送より先にYouTubeで先行公開されたショートアニメ『おどろきいっぱいのディーゼル』*1を観たことはありますか? 普段はトーマスに意地悪をしているディーゼルが、パーシーのペースにまんまと乗っけられるのが可愛らしいですよね。今回の物語は、その"かくれんぼびっくりゲーム"(Hide & Surprise)を本編に活かした内容になっています。構成としては、テンポ良いショートの内容をただ本編用に引き伸ばしただけですが、シリアスな描写と救出劇と教訓を交えた、ショートの後日譚として捉えることもできます。
その理由は大きく分けて二つです。一つは、冒頭から当たり前のように2台が"かくれんぼびっくりゲーム"で遊んでいること、もう一つは、後述しますが、現にもう一つのショートアニメが前日譚となっている描写が存在するためです。
『All Engines Go Shorts』シリーズは、第7話『ドラゴンときしだん』→『ジェームスとドラゴン』、第8話『だいぼうけんクラブ』→『クリスタルのどうくつ』のように、本編の後日譚で描かれる場合があるので、その逆パターンもあるのだと驚きました。
『おどろきいっぱいのディーゼル』を視聴したことがある人なら、最後にどういう展開になるのかは知っていると思います。今回は更に深刻で、ディーゼルが隠れるために乗った艀が海に流されて、自分の力では元に戻れなくなってしまいます。ここからは次に何が起こるのか予測不可能でワクワクしました。教訓としては、立ち入り禁止の場所に入ってはいけない、みたいな感じでしょうかね。S1『あなにおちたトーマス』みたいな。でも海の上で気づかれないのでもっと深刻です。
勝つことばかりこだわって周りをよく見ていなかったのが仇になったという旨で、後にディーゼルが反省し、普段通り仲良く競走に戻るのが良かったです。
お察しの通り、今回の物語は、AEG S1の中でも、トーマスが物語をリードしない2回目のエピソードで、ディーゼルとパーシーが主人公で描かれています。もちろんトーマスが出てこないわけではないのですが。ともかくカウントを続けるのはここまででやめましょうかね。トーマスがリードしないエピソードは他にも第49話、第52話と続き、AEG第2シリーズではさらに多くなりますので。
さて、今回の物語にはあるキャラがキーパーソンとなっています。それが、カモメのウィルソンです。ウィルソンは、ショートアニメ『ディーゼルとカモメのこ』*2で「ママ、ママ」と喋っていたあのカモメの子供のことです。はい、このエピソードでは、ウィルソンがヒナから成長した姿で描かれているため、おそらく『ディーゼルとカモメのこ』から何ヶ月か経過した後日譚であることがはっきりとわかります。カモメのことはよくわからないけど、鳥の種類によってはおよそ半年過ぎたあたりで若鳥になるので、鳥の成長は早いものです。
このエピソードでは、そのウィルソンが鳴き声をあげたり、他のカモメを引き連れてディーゼルの救出を手助けする様子が描かれており、ショートで母親を探したディーゼルへの恩返しという形に見て取れると思います。なんて尊いんだ…。これだけで私はもう満足です。
落ち度があるとすれば、ハロルドの扱い方です。彼は過去2つのエピソードにおいて、巨大な潜水艦の片方や、ウシ3頭が収容された貨車とニアを同時に運んだ経験があります。ちびっこ機関車の重さはこの世界観では大したことないと仮定して、コンテナの乗った艀がバルストロードよりも長い潜水艦に比べて質量で優っているのは、とても… 不思議に見えることです。波とコンテナがめちゃめちゃ重いのかな。
結果的にバルストロードの活躍を見られたのは嬉しかったのですが、トーマスとパーシーにサプライズを届けるなら、ハロルドが岸までゆっくり牽引しても違和感は生じないはずです。
加えて、救出に駆けつける場面で、岸からウィルソン率いるカモメの大群を見つけるのがトーマスとパーシーという時点でハロルドが噛ませにしか見えないのが残念に思います。まあ、少なくとも、あの手が使えなければこの手で、本筋の問題解決には貢献しているといえます。
【チェックポイント】
AEGになってもパーシーとハロルドがよく絡むのでなんか嬉しいです。ライバル関係ではないようですが、トラックマスターでもパーシーとハロルドがセットになって初めて販売されたりもしているので、今後の掘り下げに期待です。
おまかわ。
全体的な面白さ:☆☆☆
遊び心:☆☆☆
キャラクター:☆☆
BGMの良さ:☆☆☆
アニメーション:AMAZING
独創性:☆☆☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
ショートアニメをロングバージョンにしただけではありますが、尊い瞬間がいくつかあり、私としてはとても楽しめました。
総合評価: 8/10
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*2:原語版『Diesel's Seagull』