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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第23話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

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AEG S1 E23 『Thomas' Day Off』『ぼくだけの ぼうけん』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: クレイグ・カーライル

内容: 配達の時間に一台だけ仕事を貰わなかったトーマスは、休暇を満喫しようと古い有蓋貨車と一緒に冒険に出る。

 

【このエピソードについて】

 『Thomas' Day Off』といえば、同じサブタイトルがオリジナルの第9シリーズにありました。邦題は『なまけもののデニス』ということで、デニスが初登場する回です。一生懸命働いたご褒美に休暇をもらったトーマスが、島に来たばかりのデニスによって台無しになるといった内容でした。デニスのキャラクター性を除いても多くのファンの反応はとても穏やかではありませんでした。休暇をもらったなら機関庫から出るべきではないとかなんとか。

 さて、従来と異なり、遊び心を持って働くのがコンセプトの一つであるAEGでは、上記の相性の良さが可視化さてはいますが、果たしてどのような休暇になるのでしょうか。

 

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©︎Mattel

 このお話では、トーマスが誰かにお休みの日を邪魔されるものではなく、上記の回との類似性は一切ありません。彼の分の配達がないので、意外なことにゴードンからお休みや冒険に出かけることを提案されます。この時点でオリジナルシリーズだったら批判が飛びそうですが、ある種の尊さを感じるのがAEGです。普段は大人の立場としてちびっこに注意したり教訓を与える彼が育ち盛り(?)で遊び心のあるトーマスに仕事以外の過ごし方を与えるなんて優しいというか理解があるというか。なんかいいよね。

他の機関車は配達に出ているのでここからはトーマスの初めてのひとり遊びになります。本筋は、想像力を働かせて遊ぶのがどれだけ楽しいか。子供の頃にこういう経験した人、あるいは現在進行形で子供の人、多いんじゃないでしょうか。特にトーマスのおもちゃで遊んでいる時とかこれに近いですよね。もちろん最後には友達とごっこ遊びを続け、それとは別に楽しみが待っていることを学びます。

 

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©︎Mattel

 挿入歌「On My Own」はかなり素晴らしいです。歌詞自体もまともで、テーマ通りトーマスによるア・カペラのハモリで形成されている、透き通った綺麗な印象を与える曲です。前半は一人で遊ぶのが寂しくて哀愁を漂わせています。後半は後述のボクシーと楽しいひと時を過ごした後で想像力を持つのがいかに楽しいかを楽しく歌う曲で構成されています。

US版のミーシャ・コントレラスの美声がこれでもかと活きていて素敵です。ぜひ公式YouTubeチャンネルから「On My Own」を聴いてみてください

 

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©︎Mattel

 冒険自体もかなり楽しいです。人格のない古い有害車にボクシーと名前をつけ、ウィフのリサイクル工場で見つけたズタボロのビーチボールを運命のオーブ(Orb of Destiny)にして一人でごっこ遊びを始めます。人格のない貨車に話しかけるのって『きかんしゃトーマス』シリーズ全体でもかなり珍しいことで、何でもありのAEGでは不思議にもよく成り立っているように見えます。

 

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©︎Mattel

 さらに物語を面白くしているのは、鉄道以外の魅力的な脇役キャラクターが貢献していることです。港ではクランキーはもちろんのこと、AEG短編では初めて艀のバルストロードと、帆船のスキフが登場します。バルストロードは、映画『めざせ! 夢のチャンピオンカップ』において先行で登場しており、今回ほどスクリーンに映る時間は多くはないけど記憶に残る形で出番がありましたね。それはさておき、トーマスのごっこ遊びを把握して遊びに協力するのが、近所の人の良いおじさん感があってとても良いです(笑)

スキフはバルストロードの後輩なんですかね。立場上は大人らしいんですが、少なくともバルストロードよりは若そうです。

 

 

 

【チェックポイント】

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©︎Mattel

 クランキーがめちゃくちゃ愛しく思える回の一つです。他者の前では不機嫌なクレーンで居たいように振る舞いますが、実はちびっこや動物とふれ合うのが楽しいみたいで、この回から何度かそう言った素振りを見せるようになります。オリジナルシリーズにもCG期後半から似た部分がありましたが、わざわざ隠すところが非常に可愛らしいですね。

 

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©︎Mattel

 艀のバルストロードは、古いファンなら言わずもがな、原作絵本のキャラクターです。32巻で初登場&退場し、不平ばかり言って周りを困らせていたので砂浜で子供達の遊び場になるという役割で、それを適応したTV版では第4シリーズ『ちょっとしたみもの』のみの登場となりました。第10シリーズの港用に大型模型が造られたりしましたが、結局あれ以降登場することはなく、CG期にも未登場でした。ですので、彼は2D化した際はとても驚きました。

リック・サヴァルによると、脚本を考えているときに艀が必要になり、マテルに確認したところ「バルストロードがある」と言われて、実現に至ったようです。いつも不機嫌で文句ばかり言っていた原作や模型期と違って、穏やかでのんびりした性格で描かれていますが、これはクランキーとのキャラ被りを避けるためにあえて性格を変更したのだそうです。

個人的にはこれはこれでアリですね。オリジナルシリーズとタイムラインが同様かどうかは不明ですが、もしかしたら反省したのかも?(笑)

 帆船のスキフは映画『謎の海賊船と失われた宝物』(原語版2015年公開)から直近の第24シリーズにかけてレールボートとして登場したキャラクターです。AEGでは、S1第51話の始めではまだ鉄道を走る台車を持っていないようで、タイムラインとの差異が垣間見えますね。S1ではこの回と第51話のみの登場です。以降のシリーズに期待したいです。

 

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 登場キャラクターみんな優しくて、クランキーでさえなんだかんだトーマスの遊びに付き合ってくれたりで、楽しさと共に温かい気持ちになるエピソードです。歌も良く、キャラクターの使い方も上手で、良作だと思います。クレイグ・カーライル執筆の物語をもっとみたくなりました。

 

総合評価: 7/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。