※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
AEG S2 E6 『New Mail Engine in Town』『パーシー つぎのしごとをさがす』
監督: キャンベル・ブライアー
脚本: レキシー・カハノヴィッツ
内容: 事故に遭ったパーシーの代わりにニアが郵便配達をすることになり、彼女の素早い仕事さばきを聞いたパーシーは不安になる。
【このエピソードについて】
「置き換えられる不安」を題材にしたエピソードは、オリジナルのシリーズでやりすぎなくらいありましたね。第21シリーズ『クランキーのさいなん』や、第24シリーズ『A New Arrival』*1が記憶に新しいですかね。今回のエピソードもその一端です。古参ファンとしては新鮮味はないですが、教訓よりもキャラクターのアイデンティティを重点に置いたコンセプトは正直好きです。
『はたをおいかけろ』以降、パーシーが郵便配達する際に「The Mail Delivery Song」を歌うか、その鼻歌を奏でるのが恒例化するようになってきました。これは悪いことではなく、彼のアイデンティティを構築していくのに役立っています。それゆえ、ニアが替え歌を歌っていたのが斬新でとても印象的でした。
良かったのは、ニアの配達方法とパーシーの配達方法に違いがあることです。これは展開によってどうとでもなれることですが、もしこれがニアではなく、カナかディーゼルだったら、どう展開するのか火を見るより明らかでした。ニアの場合、楽しく配達できて近道で時間短縮を図れるため側から見た印象は良くても、実際には配達物の安全確認をしなかったり、扱いが微妙に雑であると。逆に言えば、パーシーがどのように郵便配達で信頼されているのか、彼のアイデンティティを可視化で確認できたことが嬉しいです。
パーシーの車軸が壊れる原因がカモを避けた脱線の衝撃だけだったのは、ニアの配達並に雑だなと感じました。事故シーンに時間を費やしたくなかったのかもしれませんが、S2第2話『パーシーがきえた!』で高所から落下した時は無事だったのに?
まあでも、こうも考えられます。過去のいろんな車軸への負担や衝撃が蓄積して、壊れやすくなっていたのかもしれません。たぶんね。
仲間の方が上手くやっていたり、自分の仕事をまとめられていたりしているのを見て、自分の立場が危うくなり悲観的になるのはかなり共感できます。パーシーが平和的解決を重んじるキャラクターだからこそ、S21『クランキーのさいなん』と同じ展開にはならない、つまりクランキーみたく自分がどれほど優れているかを見せつけず、ニアに役割を譲ろうとしたのが新鮮でした。その後のことは「適材適所」も取り入れられていましたね。ジェームスやクランキー、バルストロードやアニーとクララベルなど様々な仲間達のパーシーへの態度が暖かくてほっこりします。
ただし、惜しいのが、終盤にパーシーが丁寧だということを描写するのなら、トーマスをはじめとした仲間がパーシーの配達に信頼を寄せている言動を全体を通してさせなくても良かったのではないかと思うんです。
はい、わかっています。焦りは盲目になるもの。でも、こんなに仲間達から言われているのに、どうして悲観的になってしまうのかと、視聴者側はもやもやしてしまうのです。視聴者目線でも「ああ、これはパーシーも終わったな」と思わせることができたら、『タイタニック』に見えることも多少は緩和されたはずです。
【チェックポイント】
マッコールさん… で合ってるのかはわかりませんが、嫁と娘と思しき存在が確認されました。オリジナルのマッコールさんは単身でしたから、驚きですね。
物語の中にはいくつかエンタメ性に溢れた面白い瞬間があります。パーシーがメンテナンス・ヤードに着いた時の台詞が特に面白かったです。
「Who's gonna do the day's delivery? How does Sodor get glittery cards from their grandma's? Or the jigsaw puzzle they orderes? Or even their past-due bills!」と。
直訳すると、「配達は誰がやるんだろう。どうやってお婆ちゃんたちからキンキラカードが届くの? ジグソーパズルの注文は? 期日の過ぎた請求書も!」。
最後の一文が予想外すぎて(笑)。郵便物もいろいろ把握しているんですねえ。
車輪と車軸の破損は笑い事じゃないけど、レントゲンを出してきた時には流石に笑いを堪えきれませんでした。
ジェームスの場面もコミカルで面白かったですね。挨拶や不機嫌な態度を見せるだけでなく、今期からはまともに会話を交わすようになったのが嬉しいです。
全体的な面白さ:☆☆
遊び心:☆☆
キャラクター:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆☆
独創性:☆☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
予測しやすい展開ゆえに点数自体は低めですが、AEG第1シリーズに比べて、この回では特にキャラクター同士の会話は韻やダジャレに頼るような幼稚なものではなくなっていて、ブレナー期並によく書かれているのはとても良い傾向です。
総合評価: 6/10
※この記事に添付したスクリーンショットの著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。
*1:映画『おいでよ! 未来の発明ショー』序盤