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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第7話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

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AEG S1 E7 『Dragon Run』『ドラゴンときしだん』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: クリストファー・J・ジェンタイル

内容: ドラゴンの飾りを運んで騎士の気分のトーマスは他の仲間たちを連れて行こうとするが、みんなも騎士になるチャンスを窺う。

 

【このエピソードについて】

 落ち着けるひとときは一旦そこまで。ここからはAEGの本領発揮と言わんばかりのドタバタ劇と教訓重視の展開になります。第7話はドラゴン関係のお話。Huzzah!

 

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©︎Mattel

 模型期、3DCG期、2D期ときて3つ全体にドラゴンの飾りが出た事になります。今回出てきたそれ用のドラゴンの飾りは中世祭り(A medieval fair)の催しというわけで、中華風の龍ではなく、シリーズ初の西洋の"竜"です。蒸気をあげると煙を吐いているように見える仕掛けがイカしてますね。

 他のちびっこ達は各々順番を狙って、仕事を任されたトーマスからドラゴンを奪い合おう奮闘します。ええ、他の仲間たちは信じられないほど自分勝手に描かれています。自己中で描写されるトーマスの方がまともに見えるくらい。まあこんなかっこいいものを子供が見たら「次ボク、次ワタシ」になるか…? なるわね。

 プロットと道徳は、変わりばんこに運ぶことに焦点を当てた非常に平凡なものとなっています。自分を中心に考えて友達を家来にするよりも、交代交代でやり遂げる方が、より友情が深まるよという教訓です。番組のターゲット層となる未就学児は、この先幼稚園や小学校で友達と向き合うときにこのようなぶつかりを高確率で経験すると思いますので、わかりやすく描かれている分、理解しやすいでしょう。

ただ、新しい試みではないのは確かです。また、AEGでは珍しいことです*1キャラクターが筋書きに押されているような感じがする印象です。5台とも元気いっぱいと言っても、中盤の通りニアかカナが冷静に歯止め役を担っていたらキャラクターに深みが出ていたのではないかと思います。これでは教訓の押し付けです。

 

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©︎Mattel

 エピソード全体は独創性がないのか? いいえ、そんなことはないです。今回の良いところは、先述のように、エンターテインメント性を持たせていることです。

ドラゴンの奪い合いもそうですが、そうしている最中にゴミ箱の蓋が騎士の盾のようにくっついて仮装したり、貨車の連結器が外れてドラゴンが暴走します。仮装は独創的ですし、列車の暴走は子供達にとって良い刺激になるはずです。

特にジェームスがドラゴンから逃げたり*2するドタバタ劇が面白かったです。題材とアニメーションに関しては自分の中では評価が高いです。

 そうそう、AEGでUS版UK版共通でジェームス役を担当する英国人俳優ルーク・マーティは、ロブ・ラックストローと江原正士に並ぶ私のお気に入りのジェームス担当声優です。細くて深みのある声が悲鳴をあげるジェームスや自惚れ屋の彼の性格にピッタリで、元々の番組から雰囲気が近い印象です。AEGのジェームスは今の所不憫な目にあうことが多い脇役ですが、ちびっこ達のノリに乗ってくれる近所の親しいお兄さんみたいな雰囲気で好きです。

 

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©︎Mattel

 挿入歌「Knights of the Turntable」は交代で運ぶのを歌にした曲です。5台のちびっこたちのハモリが心地よいです(UK版を除く)。丘を登るときは力強いディーゼルが、下りはニア、直線で速度を出せるところではカナ、彼女が走れない線路ではパーシーが交代し、最後は自分の仕事であるトーマスへと回っていきます。

 終盤は再び作為的なシーンでハッピーエンドを迎えます。誰かが不注意にぶつかったわけでもなく、ランダムに大岩がドラゴン目掛けて転がり、サプライズのような演出で城に舞い降ります。アニメーションは美しいですが、教訓と結びつかないので都合の良い状況で褒められるのはかなり納得のいかない終わり方でした。

 あ、王様の格好をしている太った紳士はトップハム・ハット卿です。やっとモブを含めて人間キャラが出てきました。初回からコスプレされてるとわかりにくいよね。

 

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©︎Mattel

 今回出てくる城はカーク・ローナンに所在すると言及されています。ウルフステッドでもカランでもありません。カーク・ローナンが出てくるのはTV版では元番組の第5シリーズ以来ですかね。地名は牧師の設定に因んでいます。カーク・ローナンの近くの城といえばロルフズ・カースル(Rolf's Castle)があるのですが地図マニアとしては拾ってくれなくてちょっぴり残念(笑) しかし、雑誌に掲載されたAEG用のソドー島地図にはしっかりRolf's Castleと明記されていました。

 

 

【チェックポイント】

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©︎Mattel

 こちらが"Knights of the Turntable"(直訳すると転車台騎士団)のみなさんです。

左から橙騎士のニア、迅速な騎士カナ、緑騎士のパーシヴァル(パーシー)*3、黒騎士のディーゼル、そして画面上にいないけど青い騎士のトーマス。

それぞれの個性を活かしていたのが印象的です。

 

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©︎Mattel

 一瞬の場面で、劇中では"those trains"としか触れられていませんが、ヘンリーだけでなくエドワードカメオ出演したことに大変驚いています。年寄り機関車との交流が減る事と、エドワードとヘンリーの削減はイコールだとばかり思っていました。そんなことなかった。

車軸配置が6-6-0*4ととんでもないことになっていますが、恐らくアニメーターの無理解か、ゴードンとジェームスのベースデザインを流用した結果無駄に巨大化してしまったものと考えられます。カーブ曲がりにくそう。

私としては、シリーズ中に喋らなくても、忘れられてないだけありがたいです。設定に肖って誰よりも老け顔なのが好きです。

 

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©︎Mattel

 あなた汽笛そこじゃないでしょw

 

 

全体的な面白さ:☆

遊び心:PERFECT

キャラクター:☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆

道徳:☆

 

【最終的な感想】

 ドタバタ劇と共にいろんなキャラクターが出てきて、それぞれ対等に立場を確立させているので情報量が多くて初見時は頭がパンクしそうになりました(笑) 公平に見て全体のテンポは良くて挿入歌も良くて飽きさせない。教訓の面ではひどいけど楽しいエピソードでした。とはいえ、最後の仕掛けは少し邪魔している気がします。何かを仕込まなければ楽しくないのはわかるのですが、飛んでいくドラゴンに全てを持っていかれたような感じがしました。

 

総合評価: 3/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。

*1:シャロン・ミラー期と違い、AEG S1では脚本でキャラクターが左右されることは殆どありません。

*2:制作側が気に入ったのか、これを題材にしたショートムービーまで用意されています。この話は今のところ唯一ジェームスが元々の人格を持っていることが示唆されています。

*3:Percyという男性名はPercevalの省略形です。トーマスからさらに省略形で呼ぶPerceもこれに由来します。

*4:デフォルメされたゴードンとヘンリーよりも車輪の数が多いことになります。