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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス All Engines Go 第1シリーズ第28話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

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AEG S1 E28 『The Can-Do Submarine Crew!』『せんすいかん だいさくせん』

監督: ジェイソン・グロー、ショーン・ジェフリー

脚本: アダム・ビーチェン

内容: 潜水艦を運ぶことになったトーマスとパーシーはコミュニケーションを取るのに苦難を強いられる。

 

【このエピソードについて】

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©︎Mattel

 かなりユニークなエピソードが来ました。この巨大な潜水艦を見て、第2話の巨大なロケットの打ち上げのためにパーツを運ぶスリーストライク手法の脚本が一瞬頭をよぎったかと思いますが、今回のはコメディ要素を組み込んだ、結構斬新で面白い物でした。

ユニークなのは潜水艦を運ぶことだけでなく、長い潜水艦を運ぶことによって、お互いをよくわかっているはずの親友同士が、口頭で全くコミュニケーションを取れなかったり、線路をうまく走ることができず苦戦する内容ということです。チームワークとコミュニケーションを題材にした話は過去に何度も、というか1シリーズに1回はある使い古された典型例の一つでしたが、チームワークを学ぶために個性バラバラで歪み合いをする展開ではないのが一つの特徴です。ちなみにAEGシリーズは全ての話にチームワークと問題解決を取り入れています。その解決の方法がかなり独特で面白かったです。

 

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©︎Mattel

 一つ目の手段が鉄道に必要不可欠な汽笛なわけですが、いろんな合図をするために種類豊富な汽笛コードをパーシーに覚えさせようとしたり、トンネルを通して汽笛が反響して訳がわからなくなったりと、ギャグもテンポも良くて面白かったです。やたら呑気なバルストロードもいい味出してる。

 

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©︎Mattel

 そして彼らの物語を動かすのが、空のヒーローハロルドです。第1シリーズのプロモに、映画『めざせ! 夢のチャンピオンカップ』にも脇役で出演したハロルドが居たので、後半に登場するだろうと予想しては居ましたが、ヨンバオの直後にこんなに早く来るとは思いませんでした。窮地に追い込まれたときのまさかの手段に驚きです。

 しかし、物語に不満がないわけではありません。一つは、クランブル・キャニオンをパスしてキャノンボール・カーブしか通行手段が残されていない中で、もしゴードン故障してなかった場合どうやって運ぶつもりだったのかという疑問が残る点です。ロケットみたいに解体する? そもそも鉄道管理は一体どうなっているのか。通行止めの場所を、2台の失敗でルートの一つが通れなくなるとかだったら緊張感が増して納得がいく展開になると思います。

もう一つは、他のエピソードにも大概言えますがゴードンは展開のために故障しすぎです。ノーマンレベル。何か… もっと無いのか、他の理由は。

 

 ちなみに、AEG映画第1弾と第25話で初登場したキャノンボール・カーブの元ネタは、カルディー・フェル鉄道のデビルズ・バック(魔の尾根)らしく、地図上でもその位置にこの山が存在します。ということは、AEGにカルディーが登場する可能性は消えたに等しいでしょう。
※なお、当初はデビルズ・バックを登場させる予定でしたが、未就学児向け番組に「devil」というワードを使いたくなかったので、この山になったそうです。

 

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©︎Mattel 

 さて、今回AEGで初めて喋ったヘリコプターのハロルドです。AEG寛容派でもデザインには賛否両論… いや、否の方が多い印象です。何しろ顔がトーマス達と同じ灰色顔になり、原作にも従来のTV版にも似ていない変化を遂げましたゆえ、見慣れなさすぎて。マスコット的な可愛さじゃなくなったと言いますか。

 今回は羽音がうるさい役割で登場し、相変わらず機関車たちに対する空気が読めなくて逆に安心感を覚えます(笑) そしてそれが中盤と終盤の展開のヒントにつながるので、ただうるさいだけの迷惑ヘリじゃなくて良かったです。

US版の声優はトップハム・ハット卿と同じブルース・ダウ。UK版はスキフやいたずら貨車と同じジャイ・アームストロング。前者は低く、後者は高めとだいぶ声のトーンが異なります。

いつも無線機を使っているかのような喋り方で、それ自体でキャラが立っています。US版では「やあ、みんな」に当たる挨拶をアメリカ人らしく「Howdy, fellows」と声をかけ、UK版では従来と同じく「Hullo, chaps」とイギリスのスラングやイギリス空軍っぽい単語を用いて喋ります。また、航空用語を従来よりも多用する特徴が加わっています。

 

 

【チェックポイント】

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©︎Mattel

 ここに来て従来のシリーズで感嘆詞に用いられる語録が初めてAEGでも使用されました。といっても、トーマスの言う「Bust my boiler!」は、実は第13シリーズ以来で、あんまり使われていません。(原作からよく用いられるのは「Bust my buffers!」)。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆☆☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 あんまり野暮なツッコミを入れる気は無いのですが、もしこうだった場合のある程度の想定を無視した展開がどうしても疑問を覚えるし、正直積荷はロケットと同じくらいランダムに感じます。でも、カートゥーンの持ち味を生かしたギャグとテンポの良さ、そしてハロルドの活躍や、奇想天外なアクションと解決方法が物語を面白くユニークにさせていて素晴らしかったです。これは私の好きなエピソードの一つです。

 

総合評価: 8/10

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