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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

Thomas & Friends: All Engines Go 第1シリーズ第27話レビュー

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

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AEG S1 E27 『The Tiger Train』『ゆうかんなトラのきかんしゃ』

監督: キャンベル・ブライアー

脚本: ブランドン・ヴァイオレット

内容: ヨンバオに嫉妬したトーマスは自分の方が勇敢であることを証明しようとする。

 

【このエピソードについて】

 2Dになってケンジが出るのを簡単に予想できても、誰がヨンバオが出てくると予想できましたか。事前情報ではAEGでは世界に行くエピソードはなくソドー島で遊びを繰り広げると言われていましたから、世界万国から国際キャラクターが手伝いに来るという発想さえありませんでした。2021年12月17日に米公式YouTubeチャンネルで楽曲が先行公開されなければエピソードにとって素晴らしいサプライズになったかもしれませんがそれでも未だ信じられません。

 

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©︎Mattel

 カナやサンディーの導入エピソードが意図的に用意されていなかったのと同様に、AEGのヨンバオはソドー島の仲間たちとも旧知の中のようで、何度かソドー島に来ているようです。汽笛の音に虎の鳴き声が混じっていて特徴的です。それにしてもバルストロードさん、艀どころか貨物船の役割も果たしてますね。わざわざ中国か中継地点の港まで行ったってことでしょ?

 さて、物語の内容についてですが、『勇者とソドー島の怪物』(以下『TOTB』)の"勇敢"にまつわる道徳を短絡化し、ゲイターとパーシーおよびジェームスの役割を、勇敢なヨンバオとわんぱくなトーマスに置き換えたような感じです。この役割ゲイターで良くないかと思う場面さえあります。

しかし、ここではヨンバオにはヨンバオの良さがあり、描写こそAEGの持ち味であるカートゥーンチックではありますが、第24シリーズ『ヨンバオとトラ』に匹敵するかっこよさの救出劇を冒頭から見せてくれます。惚れるわ。モンスターに屈しないゲイターとは趣旨が異なる勇敢さです。

 

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©︎Mattel

 奇数回なので挿入歌があります。米公式YouTubeチャンネルで先行公開されてファンの間で話題になった「What Brave Engines Do」は概要にある通り、アップリフティング・ロック(高揚感のあるロック)なトーマスとヨンバオのデュエット曲です。ヨンバオが歌うのは従来シリーズ通しても初です。勇気とは無茶をすることではないとトーマスに教える内容で、『TOTB』のジェームスが体験して学んだこととても似ていますね。

歌詞も楽曲も耳に残るキャッチーさで時々私も口ずさんで歌っています。

 

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©︎Mattel

 CG期のヨンバオは特に弱点がなく完璧すぎるキャラクターでしたので、『ヨンバオとトラ』のようなオリジンストーリー以外では物語でうまく扱うのは難しいと感じました。

AEGのヨンバオは、社交的で勇敢なのは変わらないままでありつつ、底が見えない高所など一般的に怖いと思うものに対して正直に恐れる弱点が追加されており、視聴者と共感しやすいキャラクターになっています。このほか、油断しているとびっくりしてしまうなどの愛嬌のある場面も存在し、より面白いキャラになったと感じます。どんなに勇敢でも怖いものがある。大人にだって怖いものがないわけじゃない、といったメッセージを感じられる描写は、トーマスだけでなく私たちにちょっとした安心感を与えてくれるはずです。

まあ… 高所恐怖症じゃないと思いますが、ゲイターに似すぎですけども。

 

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©︎Mattel

 番組表の概要(おそらくはオーダー時のシナリオ)には「トーマスの計画が裏目に出る」場面は実際には存在しません。制作中に変更になったのでしょう。該当するとしたら、挿入歌か、鉱山の中の橋を見下ろして強がる場面くらいで、物語に直結しているわけでもありません。また、鉱山の落盤(?)でカーリーとサンディーが閉じ込められるくだりは後付けで発生したような感じがしました。直前の挿入歌では外にいたのに。

その違和感と焼き直しっぽさを除けば、全体的にまとまっていて、最終的にトーマスが勇気を示してヨンバオと同等の活躍をするところまでセットで完璧です。カーリーとサンディーの扱い方も良かったです。

 

 

【チェックポイント】

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©︎Mattel

 2D版のヨンバオのデザインは、名札などの英文字を画面内に記載しない方針上、文字が書かれていないことを除けば、3DCG期のデザインにかなり忠実な再現が施されています。色も手すりも車軸配置さえ全く一緒で、龍と虎のエムブレムも健在です。ほとんどデフォルメせずに力を入れられるなら、同じく国際キャラの括りに入るであろうヒロとケンジも、こんくらいやって欲しかった感(笑)

同じくアジア系のヒロとも大きく差別化されており、レースのコーチを行ったヒロが仙人だとすると、ヨンバオは若々しい先生のような印象を与えています。

冒頭には『ヨンバオとトラ』というよりも、ヨンバオの設定にあやかった言及がされており、彼やニアのように特定のキャラクターはタイムライン、あるいは彼らを構築するアイデンティティが従来と共通しているようです。

 

US版声優は、中華系モーリシャス人の両親の元に生まれたカナダ人俳優のパトリック・クォックチョウオン(Patrick Kowk-Choon)。アメリカの人気SFドラマ『スタートレック: ディスカバリー』で大尉ジェン・リース役で知られています。

UK版はイギリス人俳優兼オペラ歌手のロボ・チャン(Lobo Chan)が担当。両者ともアジア系でヨンバオにピッタリはまっています。

 

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©︎Mattel

 段々と改修されていくヘンリー。場面によって作画が異なります。モブとして、ゴードンの2Dモデルを流用しているからなんでしょうね。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

遊び心:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

独創性:☆

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 かっこよくて、時にはかわいい一面もあるヨンバオを堪能でき、全体を通してヨンバオ好きにはたまらない内容になっていて、もし2Dアニメーションが受け入れられるのであれば、ヨンバオファンに見てほしいと思います。汽笛の音以外はCG期から忠実に再現されていますし、アクションも多めです。

しかし、"勇気"に関する道徳に関しては、映画『勇者とソドー島の怪物』の方が優れているため、そちらを推奨したいです。

 

 今回のように国際キャラクターが島に来島して物語が展開するということは、CG期でほとんど出番がなかった国際キャラが2Dで活躍するチャンスがある可能性がとても高いです。

第2シリーズ(TV版通算第26シリーズ)では、ありがたいことに、ほとんど掘り下げられなかった南インドアシマの登場が確定しており、つい最近、2025年までにさらに続くことが判明した第3シリーズ、第4シリーズと国際キャラクターが控えているかもしれません。夢の広がりに、とても興味をそそられます。

 

総合評価: 8/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てMattel, Inc.に帰属します。