Z-KEN's Waste Dump

喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第20シリーズレビュー第1回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

f:id:zeluigi_k:20210103234956j:plain

S20 E01 『Sidney Sings』『うたうシドニー

脚本: リー・プレスマン

内容: シドニーはパーシーの新しい車輪を届ける仕事を忘れないよう歌を歌う。

 

【高評価点】

・S17『きえたクリスマスのかざり』の素敵な続編。

シドニーの性格を活かした作品。

・アニーとクララベルの歌好き設定の利用。

 

【低評価点】

なし

 

 

 

【このエピソードについて】

 ついにこの時がきました。CG期最高傑作*1の第20シリーズのレビューになります。本当はリアルタイムに行って多くのトーマスファンに魅力を伝えたかったのですが、残念ながら当時の私は未熟でレビュー活動を自粛していました。これからのレビューは2016年に初めて試聴した時のそのままの感想を交えながらですが、今からでも語り尽くせたらいいなと思います。中にはそうでない作品も一部ありますが、最初はシドニー主役回からです!

 

f:id:zeluigi_k:20210103235450j:plain

©︎Mattel

 初登場段階からずっとシドニーの主役回を待ち望んでいました。映画『ディーゼル10の逆襲』(2011)に登場したときの彼は、車輪の修理を待ちながらパーシーの冗談を笑うだけの役割だったにもかかわらず、当時の宣伝用冊子からすでに「忘れっぽい」という設定記載がありました。S17『きえたクリスマスのかざり』でフォーカスを当てられ、線路に復帰して以降、特にノーマンとシドニーに関してはとにかくスリーストライクでもいいから主役回きてくれと思っていました。まさか第20シリーズ最初のお話がシドニーだとは。

 驚いたのはそれだけではありません。視聴前に私が予想していたのはもっと平坦なスリーストライクでした。もっとも、UK版放送当時にほぼ同じ時期に公開されたピクサー映画『ファインディング・ドリー』のドリーと同じタイプの特徴を持つキャラクターなので、最初は魅力的でもすぐに飽きる感じになるのではないかと思ったんです。(ここだけの話、『ファインディング・ドリー』は"重度の障害(健忘症)を持ちながら生きる"という魅力的なテーマなのに、前作とほぼ同じ流れを持っていて映画館で観たあとは、ほぼ印象に残っていませんでした)。

でも、そうではなく、シドニーとこのエピソード自体を嫌いになれないくらい魅力的に描かれていたのです。

 

f:id:zeluigi_k:20210103235208j:plain

©︎Mattel

 「忘れっぽい」という物は子供らしい特徴でもあるんですが、実はどの年齢にも共通します。年齢に関係なく元々忘れっぽい特徴を持つ人もいますし、歳を重ねるほどそうなる人もいますよね。私みたいに忘れっぽい人は、今回のシドニー*2「茶色の小瓶」の音楽に合わせて歌ったように、歌か韻を踏むことで、小さく解決に役立てるのが一般的です。たとえ会話をしてそれを忘れても、ふとしたきっかけで思い出すことができることもあります。

ここでアニーとクララベルが活用されたのも良かったですね。歌好き設定は第1シリーズのちょっとしたコールバックでもあります。こういう昔からある設定の小さな再利用は本当に素晴らしいです。確かにブレナー期は、原作設定に基づいたものからコールバックまで懐古が喜ぶシチュエーションが数多くあり、今となっては珍しいことではないのですが、物語の妨げになってないのが気に入っているところです。悪い例が『SLOTLT』のドナルドとダグラス再登場シーン。このように小さなものは古いファンから見ればコールバックだとわかるし、見始めたばかりの視聴者は新しい特徴とすんなり受け入れることができます。

 

f:id:zeluigi_k:20210104000035j:plain

©︎Mattel

 本作の最大の特徴は、シドニーの目的が、脱線したパーシーの為に新しい車輪を運ぶところにあります。S17『きえたクリスマスのかざり』の逆転パターンなんですよね。もちろんそれを命令したのはトップハム・ハット卿なのですが、シドニーはどんなに目的や方向、そして過去の出来事を忘れたりしても、パーシーが大切な友達ということは絶対に忘れていないんです。尊くないですか? 健気で可愛いですよね。

シドニーの動機もわかりやすくて良いし、忘れっぽいことを自覚していて、自分の仕事にベストを尽くしていることが最初から最後まで描かれていて応援したくなります。リー・プレスマンはシドニーのキャラクター像を的確に表現し、バカっぽく描くこともないですし、確かに繰り返しの部分はあるのですが、それがシドニーの特徴とテーマにうまく噛み合っているので不快にならず面白いと感じました。忘れっぽい人をバカにするようなところもありません。私もまだ20代の割にかなり忘れっぽいので、すごく共感しやすいです。

 

f:id:zeluigi_k:20210103235911j:plain

©︎Mattel

 赤い急行客車が再登場したのにも驚きました。TVシリーズでは2008年の第12シリーズ以来の登場です。シドニーの濃い青色との相性が良くて映えますね。残念ながらまだ細くて縦長のままですが*3

 音楽は、本作からロバート&ピーター・ハーツホーンに替わってクリス・レンショウが担当しています。ハーツホーン親子が恋しいところではありますが、レンショウの作曲センスとビートを高く評価したいです。

 

 

【チェックポイント】

f:id:zeluigi_k:20210103235742j:plain

©︎Mattel

 ウィフが出てきたのも嬉しかったです。私の最推し。それだけでなく、これまで無垢で純粋な性格で描かれていた彼が、少し冗談を言うようになったのは、ソドー島に馴染んできた感があっていいですね。

f:id:zeluigi_k:20210103235543j:plain

©︎Mattel

 これについて質問したいのですが、ゴードンはどういう意味で「~then you've had hot boilers」と言ったんですかね。そのままシドニーにボイラーがあると勘違いしたのではなく、多分なんらかの比喩だと思うのですが、ちょっと気づけなかったので…。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆

リアリズム:☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 正直ここまで魅力的なシドニーの物語がくるとは思ってもみませんでした。忘れないようにする解決方法のテーマがコミカルに進行していくし、シドニーは健気だし、何より過去のエピソードでパーシーと仲良くなったその後が描かれてるのがとてもいいです。印象に残る良いスタートを切ったと思います。

 

総合評価: 9/10

 

 

【第20シリーズ総合評価】

1 うたうシドニー 9/10

 

 

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:異論は認めます。

*2:メモを取れないので

*3:※追記 これは第24シリーズまで結局修正されることはありませんでした。