※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
S22 E07 『Thomas in the Wild』『トーマスとパンダ』
脚本: デヴィー・ムーア
内容: トーマスは中国で自然保護区へ向かう途中の竹林でジャイアント・パンダを見つけ出そうとする。
テーマ: 捜し物を凝視、動物保護
【高評価点】
・テーマ内容。
【低評価点】
・教育重視にしては中身が無い。
・あまりに単調な内容。
・トーマスの性格は完全に損なわれている。
【このエピソードについて】
とっても平凡な代わりにとっても愛らしいエピソードです。SDGsに基づいたプロットの一つで、アジア州や中国と隣接する国にしかいない希少な野生動物たちが出てきます。鬱蒼とした竹林やジャイアントパンダの自然保護区の建物も中国ならではの風景ですし、自然保護区では何を行っているかの説明もなされており、教育的でかつ中国回として悪いところはありません。ただ、保護区ではなくパンダの捜索(すなわちトーマス自身の興味と関心)に焦点を当ててるため動きと進展が無く只管に単調、ゆえに教育方針が伝わりづらいのが難点かなとも感じます。然しテーマは良好でした。
このお話に限った事ではないですが、ここまでトーマスが異文化教訓を学ぶ回となると、途端に当たり障りのない純粋なキャラクターに終わってしまいがちで残念です。決して簡単な事ではありませんが、『Number One Engine』のように個々のキャラクターの性格も重視して、もう一捻り工夫があると良くなるのではないかと思います。
今回のお話はそれ以前の問題ですが。
とはいえ、トーマスの想像する”パンダ”は実に面白かったです。ジャイアント(巨大)で、テディベアのように可愛く、白と黒というキーワードをそのまんま想像で具現化することは、知識経験の浅い純粋無垢な子供の想像に通じるものがあると思います。私は今回の空想に共感できるものがあって好きです。
また、今回のトーマスの一人称視点のナレーションは蛇足とは感じませんでした。自然な感じで流れが出来ています。
【チェックポイント】
今回も美しい風景がありました。朝焼けの下の機関庫と、夕日に照らされた竹林。
画像の機関庫は今回で全体像が明らかになりました。一見ティッドマス機関庫の流用のようで、どこか違いますね。所属機関車はヨンバオとホンメイと…『Thomas and the Dragon』で一瞬出てくるクラス08でしょうか?(もう一台いそう)
ところで、『地球丸ごとアドベンチャー』では、もう一台中国のモダンな女性ディーゼル機関車(2003年のドイツ製)が出てきますが、彼女が一向に短編に出てこないのは何故でしょう? せっかくの新規CGモデルなのに勿体ない。
ジャイアントパンダ保護区。四川省であれば世界遺産の登録物件ですが、物語に登場した場所は駅や機関庫も含めて具体的にどの地域かはわかりません。
パンダは希少な動物ですから、絶滅しないように子パンダが大きくなるまで人間たちがお世話をし、いずれは竹林へ開放するのだそうです。動物も時には人と助け合うことも必要と云うトーマスのお浚いが好きです。
パンダの他に、これまた希少なレッサーパンダとツキノワグマも出てきます。CGモデルはリアルながらも、モフモフの毛並みと動きは可愛らしく描写されています。
私はこのレッサーパンダにメロメロです(笑)
全体的な面白さ:BORING
鉄道らしさ:NOTHING
キャラ活用:TERRIBLE
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆☆☆
道徳教育面:☆☆
【最終的な感想】
申し訳ありませんがこれ以上の感想が出てきません。全体的にかわいい雰囲気でしたが、プロットはパンダを捜すだけと単調でテンポも淡々としていて正直かなり退屈でした。定められた一本のレールの上で、トーマスは物語の中で一体何をしましたか? 確かにin the wildでしたね? わあ素晴らしい。
評価基準に道徳があるように、物語に道徳的な物がある事を私は素晴らしいと思います。しかし、そればかりに気を取られて物事を台無しにしてしまう例もあります。
いくつかの子供向け教育方針は私の目には素敵としてうつりましたが、すべての子供が教育的だけのエピソードを求めているとは限りません。もしそれらを子供に伝えたいのであれば、楽しい内容があって初めて成り立ちます。
総合評価: -8/10