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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第22シリーズレビュー第10回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S22 E10 『Outback Thomas』『オーストラリアのトーマス』

脚本: ティム・ベイン

内容: トーマスはオーストラリアのアウトバックでツアーガイドをしようとする。

テーマ: 冗談と事実、物事を偽る事

 

【高評価点】

・道徳的なテーマ内容。

・シェインのキャラ掘り下げ。

・「good day(グッデイ)」は「g'day(グダイ)」、「story(ストーリー)」は「yarn(ヤーン)」などのいずれ会話で使われるオージー英語を序盤に説明されている。

アウトバックの動物や地名をテンポよく紹介。

 

【低評価点】

・シェインが不在だった理由が明らかにされていない。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 冗談で始めた事が収拾付かなくなるというよくあるお話でシンプルですが、かなり良いと感じました。冗談と虚偽と事実の違いについての道徳です。お浚いで同じテーマで紐づけられたS19『なぞのきかんしゃジェフリー』とはまた少し違う形です。前者は責任を架空の存在に押し付ける進行で、今回はシェインの饒舌なガイドを真似したいが為にアウトバックをあたかも知っているような素振りで嘘をつくという物。彼にとってソドー島の大半は自分の庭も同然ですから、世界編で行っても違和感のない教訓でした。そうした行いで天罰が下るのも、この作品らしくて良い所です。

そのうえ、序盤に「G'day」や「yarn」等のオージー英語の解説が入っていたり、クロコダイルやカンガルーなどの現地の動物、カカドゥ国立公園やウルル、シロアリ塚群など、オーストラリアないしアウトバックらしい要素がてんこもりで、どれも均等にプロットの中に組み込まれており、テンポが良いです。オーストラリア勢導入のオリジンとしても上出来だったと思います。

 唯一残念なのは、中盤でシェインが不在だった理由が一切説明されていない為、都合よく進行するような詰めの甘いシナリオになってしまっているところ。

 

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©Mattel

 いつもは唐突に各国で働くトーマスですが、理由は単純ながらも今回で初めて訪れた理由が開かされましたね。こういうのは大事なので是非今後も理由付けてください。 

 また、必ずしも一つ一つの動物だけを焦点に置いて展開しないところに好感が持てました。とはいえ、バランス良くプロットの一部として組み込まれており、テンポが良いです。同時に鉄道らしさも兼ね備えていて素晴らしい。ベインやプレスマンはマテルが動物を多く登場させる方針の趣旨をきちんと把握しているように見受けられます。

 

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©Mattel

 ラジブ同様、シェインもかなり良い掘り下げでした。初登場作品(台詞・役割無し)の『TGR』では"屈託ない方法と性格で多くの友達を作ってきた"という設定がありましたが、まさか誰も彼も笑わせるエンターテイナーのプロフェッショナル的存在で楽観的かつ豪快な性格だとは思っていなかったので、結構びっくりしました。カリスマ的コメディアンのアイヴァンと絡んだら面白いことになりそう…(笑)

また、彼は冗談が大好きで常に饒舌です。でもその冗談は他者を絶対に傷つけさせません。そして友達のトーマスと極力一緒に行動しようとしたり、相手への思いやりや気の遣い方も上手く、相手を楽しませる才能は秀逸で実に魅力を感じます。

 彼の声優はオーストラリアの俳優シェイン・ジェイコブソンが演じています。副業でコメディアンも務めていることもあってか、ノリノリの素晴らしい演技でした。

 

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©Mattel

 今回で初登場のシェイン専用の客車オーブリー(左)とエイデン(右)。オージー英語訛りだと「A」を「ア」と読む場合があるため、シェインからはアイデンと呼ばれているように聴こえますね。前者が女性で後者が男性です。CGモデルはトパーズ式一等車とスペンサーの客車等の流用ですが、灰色顔を持っています。こっちはあんまり違和感ないです。寧ろ正面窓が耳たぶのデカイ耳に見えて仕方ない(

 彼らも同様に冗談好きですが、滑稽な様子を傍観したり、訛りをからかうなど、シェインに比べて態度は落ち着いた感じです。また、道を間違えるとすぐ教えてくれるなど、判断も賢明ですね。どちらかというとエイデンの方が賢く見えます。アンアンとインロンとはまた別の素晴らしい人格の持ち主です。

 ちなみに、現地の人によると、英国人と訛りに関する冗談のやり取りは、必ずしも皆がそうとは限りませんが、大抵の場合友好の証なんだそうですよ。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 世界編で初めて駅名が明らかになったのが、このパイン・ツリー駅。リアリティを追求するこの作品にしては珍しく、架空の地名です。恐らくパイン・クリーク駅が元ネタだと思います。位置的にカカドゥ国立公園とも近いですから。

まあ、CGモデルはメイスウェイトをオーストラリアの田舎風にアレンジした物なんですけどね。

 

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©Mattel

  ご存じのとおり『TGR』ではシェインの台詞が用意されていないうえにトーマスと対面する描写すらないにも拘らず、何故だか冒頭にてトーマスとシェインは旧友と説明されています。AFLとのコラボミニアニメーション『Thomas' Aussie Football Adventure』の後日談ということなのでしょうか? これも本編扱いなんですかね…

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※このシリーズは今回同様ティム・ベインが全て脚本を手掛けています。ちなみにシェインの声優を担当しているのは元AFL選手マシュー・リチャードソンです。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

キャラ活用:☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆

道徳教育面:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 私は主人公や誰かが周囲に笑われたり気まずい雰囲気を作り出しながら醜態を晒していくシナリオ(例えば『ドラ●もん』のの●太の役割)が大の苦手なのですが、ただの好みの話なのでそれはそれと置いといて、一切ブレない良い脚本だったと強く実感しています。また、他の世界編と違って強制的にも感じませんでした。やっぱり現地出身の脚本家が書くとそれなりに安定しますね。

 現時点で世界編が全体的に不安定なのはコンセプトの所為ではなく全て脚本の質と、脚本家の理解力によるものと思います。私は前々回で否定的な感想を書きましたが、それはその時のエピソードの事だけで、国連を責めるつもりは一切ありません。

 さて、ブー●ーズのファンからの噂通り、ティム・ベインは優れたセンスの持ち主です。彼の脚本チーム入りを歓迎します。ようこそ。次のオーストラリア回が楽しみ。

 

総合評価: 9/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。