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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第24シリーズレビュー第13回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S24 E10 『Ace's Brave Jump』『エースのだいジャンプ』

脚本: カミーユ・ユーカン&ローズ・ジョンソン

内容: スタントショーの為に、トーマスはエースの動物嫌いの克服を手伝う。

テーマ: 動物に対する恐怖

 

【高評価点】

・設定の一つである動物に対する恐怖に焦点を当て、エースの性格に深みを与えている。

 

【低評価点】

・長編の出来事と無関係な再会。

・S22『やまかじにきをつけろ』でタミカに忠告された事が活用されているようで、されていない。

・バスが会場に来なかった理由は描かれていない。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 『Go!Go! 地球まるごとアドベンチャー!!』に登場したエースが、彼の故郷であるオーストラリアにて、ようやく短編にも登場です。

 この回のプロットとスクリーンショットがABC Kidsの番組表で公開された時、私は映画との整合性を微塵も期待しませんでした。それはトーマスとエースが仲良く競争する場面でした(下の画像)ので、和解について描くほどの余裕はこの物語には無いだろうと思いました。第22シリーズのアシマとの再会を観れば、BWBAでのやり口はなんとなく想像つきますし。

で、はい、実際何もありませんでした。映画との直接のつながりは、友達として久しぶりに会った事と、彼の動物畏怖を既に知っている事だけです。映画のレビューで述べたように、トーマスにとってエースが悪い友達という事を理解することなく喧嘩別れしただけなので、この再会はその流れで行くと妥当でもあり、インパクトを残しただけあって同時に過去最悪とも言えるでしょう。この話の前にもう一度再会していたら描くことが出来たのかもしれませんが、逃した機会はどうしようもないのでただ残念です。

 物語自体はユーモアで溢れており、特にエースはより人間臭く活き活きと動くので楽しかったです。

 

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©Mattel

 熱帯雨林の場面では、動物に対する尊重と、動物が自分たちを恐れている事をエースに教えるのに過去作が十分役立っており、S22『やまかじにきをつけろ』でタミカとジルから教わった事が活きています。

しかし、冒頭で台無しにしているので、100%活きているとは言い切れません。エースは仕方ないとして、騒がしく走るなとあれほど注意されたのに

 

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©Mattel

 もう一つ残念な事は、終盤で急展開を迎えた事です。まず、23台の2階建てバスは何故会場へ来なかったのでしょうか。序盤で1台の2階建てバスが逃げ出す描写があったので、もしスタントショーに不満があっての行動ならば、ブーイングをする台詞でもあれば自然です。

 更に、タミカ、シェイン、オーブリーとエイデンの4台はいくら旅客列車と云えども、都合よくどこからともなく現れ、トーマスやエースと相互作用を繰り出す事さえありませんでした。オーストラリアの仲間が並ぶ様は圧巻ですが、彼らはそれだけの為にそこに現れたのみです。事前にエースと会っていたらもっとマシだったかもしれません。列車を使ったスタントがやりたかただけのように見えます。このネタ、チャギントンにもありましたよね…

 それにしてもタミカのスケールでかすぎやしませんか。ウィスパリング・ジャイアントのシェインを軽く凌駕していますし、機関士の身長が前窓に届いてないのですが。やっぱりケープゲージ設定で良かったのでは。

 

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©Mattel

 緑色の2階建てバスは名前こそありませんが、1920年以降のシドニーのバス会社が採用していたカラーリングに基づいており、世界観をより現実に感じさせることに貢献しています。実際に使われていたバスの中には、バーティーとバルジーが生産されたAECも含まれている為、車体の流用はあながち間違いではありません。また、アウトバックには実際に2階建てバスが転がっています。

まあ、何で逃げ出したのかは判りません。失敗すると思ったから?

 

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©Mattel

 ここまで批判点が続きましたが、称賛しなくてはならない事があります。それは動物に対する畏怖設定に焦点を大きく充てることで、エースの人格と行動により深みが巧みに与えられている事です。元からある設定ですが映画では基本的に笑いを与える目的だけでした。

 彼が何故動物を恐れているのかは設定にさえありませんが、想像に難くありません。まずオーストラリアには毒蛇やサソリなどの攻撃的な動物がアウトバックに広く生息しているほか、北部には多くの捕食動物が居るため、結び付けやすいでしょう。

もっと簡単に視野を広げれば、ネコなどの小動物が内部に入り込んで車が故障するといった事故が実際にあります。無抵抗の時に懐に入った…なんてのも想像できますね。映画でのサルみたいに。

 

 理由がどうかに拘わらず、私はエースにまたも共感しました。私は幼いころから成人するまでずっと猫に脅えていました。怖い話を聞かされていた事と、鋭いネコ目が単純に恐かったからです。当然ですが声を上げれば急に動き出しますし。しかし、じっとしていれば何も危害を加えないだけでなく、膝の上に載ってのんびり昼寝するという愛らしさを前に、自然と克服することが出来ました。

 

 自分語りが長くなりました。ともかく、もし今後もシリーズが続くのなら、また登場してほしいです。エースには人格の面で問題点が多く、自分らしさを良い方向に押し出すにしても、友達を作るに当たって処理しなければならない事があります。動物を克服した事で次にどう活かせるかは微妙ですが、様々な子供向けエピソードが作れると思います。

 それと、再びピーター・アンドレを起用してくれたことにも感謝感激です。吹替え版でもまたISSAを呼んでほしいところですが…、映画以外の起用は難しいんでしょうね。何はともあれ、この歌手の御二方はエースの最高の声優です。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 自動車にとってカエルはくすぐったいようです(笑)

 

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©Mattel

 『Thomas' Fuzzy Friend』もそうでしたが、今期ではポスター等に本来書かれているはずの文字はバーコードのようなモザイクになっています。理由はタンク車のロゴ((と同じと考えられますが、深みが無くてつまらないです。お子さんが英語が判らなければ親御さんに調べてもらえばいいのではと思ってしまう私は浅はかでしょうか。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

鉄道らしさ:☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆☆

アニメーション:☆☆

道徳教育面:☆☆

 

【最終的な感想】

 エース自体が面白く、ユーモアとテンポが良くて楽しんで視聴できましたが、上記のように肝心なところが抜けていたり、トーマスとエースの再会を別のやり方で簡単に処理できたところを間違った方向で上手に管理されているなどの点でモヤモヤが残る作品となりました。

まあ、ともあれ今期の中に恐怖に立ち向かうエピソードがあって良かったです。かっこよかったよ、エース。

 

総合評価: 4/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。