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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第19シリーズレビュー第20回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S19 E15 『Two Wheels Good』『しゃりんはいくつ』

脚本: リー・プレスマン

内容: スペンサーたちは幾つの車輪が最高かで議論するがすぐに車輪の数が関係ないことを知る。

 

【高評価点】

・自転車が最高と思わせておいて予想外の展開。

・ボックスフォード公爵夫妻のキャラ開発。

 

【低評価点】

・トーマスとバーティーがカラン城に行く本当の理由は何?

 

 

 

【このエピソードについて】

 Two Wheels Good…おそらく原題の元ネタは1945年発行のジョージ・オーウェルの小説『動物農場』の物語の中で出てくる「4本脚はいい。2本脚は悪い。(Four legs good, Two legs bad)」というスローガンが元ネタで相違ないでしょう。

 この原題が初めて公開したとき、ファンの間で2つの車輪とは何かで話題になりました。当時私はこのエピソードにテレンスが出てくるものだろうと思っていました。最終的にテレンスが助けに来て「そういえばテレンスって車輪2つじゃないよね」みたいなオチになるなんて予想していましたが、放送する直前に、2つの車輪の道具を持つ重要人物が身近にいることに気づきました。

 

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©︎Mattel

 そう、いつも赤い自転車を愛用しているミスター・パーシバルです。その自転車を持っていることでミスター・パーシバルが素敵な方法で輝きを得ました。

曰く「車輪は2つが最高」という発言を側で聴いていた車輪4つのバーティー、車輪6つのトーマス、そして車輪20個のスペンサーがいくつか最高かで議論をします*1が、結局足止めを食らえば車輪がいくつあっても関係ないことを学びます。故障しようが車輪を一つ失おうが同じ。

 

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©︎Mattel

 ここで面白いのが、その解決をしたのが自転車のミスター・パーシバルではないということです。彼は解決へのかけ橋に過ぎず、最終的に公爵夫妻をカラン城までお連れしたのは車輪を一つも使わないハロルドでした。それぞれに特性がありそれぞれの土俵でみんな役に立つのを示しているのですが、さすがに予想外です(笑)

日本語吹き替え版では「車輪なんて一つもない」と言われていますが、ここは原語版の通りに直訳するべきだったと思います。ハロルドには普段使われることはないものの車輪を4つ持っているからです。

 

 物語はボックスフォード公爵夫妻がカラン卿の誕生日の舞踏会にスピーチとプレゼントを持って出席するためにスペンサーが2人をカラン城へお連れするところから始まり、そこからプロットの議論に繋がります。プロット全体は面白いのですが、ここでちょっとした問題が2つあります。スペンサーは何のためにナップフォード駅に停車したのでしょう。ナレーションで止まることになっていたようですが、スペンサーはお喋りのために停車したように見えます。公爵がミスター・パーシバルとトップハム・ハット卿の会議に参加する事に繋げられませんでしたか?

もう一つはトーマスの列車とバーティーの行き先です。テンダー機関車→タンク機関車→4輪自動車(バス)という下りは面白いですし、トーマスとバーティーの相互作用も然り、それが必然であるように思えます。しかし彼らはプロットの都合のためだけにカラン城へ走っていたような感じがしました。何故ならアニーもバーティーの客席も空っぽだったからです。貨物列車や舞踏会に参加する人々なら自然かもしれません。

 

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©︎Mattel

 私は今もそうですが当時も、鉄道だけでなくもっと人々や道路に焦点を当てたエピソードを見たいと思っていました。ありがたいことに今回はそこに多くの焦点を与えていました。周りが牧場で農道みたいな舗装されてない道、自転車にまたがり活躍するミスター・パーシバルと公爵夫妻との会話、どれも満足です。

 

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©︎Mattel

 ミスター・パーシバルだけでなく、ボックスフォード公爵夫妻も面白みの一つでした。『HOTR』やS16『トーマスとゴミのかしゃ』で喋るまで彼らは殆どモブキャラだったのが嘘のように2人に個性が与えられていたのが嬉しかったです。

公爵は自分がやりたいスピーチの事で頭がいっぱいで落ち着きがなく、終いには夫人がカラン卿に送るプレゼント箱を大事に抱えたまま農道の地べたに座り込んでしまいます。

夫人はずっと楽観的でアニーやバーティー、そしてハロルドの旅を心から楽しんでおり、焦るあまり自分のことしか考えられない旦那に喝を入れるのが面白かったです。ウィフに喜んで乗るだけはありますね。人をみる目があるというかなんというか。

それから、庶民的な自転車を見た時の2人の斬新な発想もユーモアがあって好きでした。

 

【チェックポイント】

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©︎Mattel

 バーティーの運転手がエスコートしてるのが良いですね。

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©︎Mattel

 キルトの衣装を身に纏ったカラン城の主、カラン卿(吹き替え版ではカレン卿)が第11シリーズ以来久しぶりに登場し、CG化しました。彼が最後に喋る役割があったのは初登場のS7『ロッホじょうのかいぶつ』のほんの小さな役割だったので、CG化して再登場するとは思いもせずびっくりしました。

今回も殆ど役割がなくて残念ですが、CGモデルのレンダリングも声も素晴らしいです。キース・ウィッカムの声のバリエーションほんとすごい。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

リアリズム:☆☆

キャラ活用:☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 シンプルですが、展開が面白く、なかなか機会のない人々にも焦点を当てていたし、機関車たちの議論も彼ららしくて好きでした。人に自信を持ってお勧めしたいエピソードの一つです。

 

総合評価: 8/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:スペンサーの場合炭水車を含めて20であって動輪は6つですけどね。