※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
S19 E16 『Reds vs Blues』『あかとあおのたいけつ』
脚本: デヴィー・ムーア
内容: ジェームスとトーマスは赤と青のサポーターを乗せながらお互い競争に夢中になる。
【高評価点】
・自信過剰同士のトーマスとジェームスの対立。
・フットボールに関連した叱責。
・パーシーの生意気さ。
【中立点】
・当時ヴィカーズタウン駅のCGモデルがなかったので仕方がないが、バローのサポーターとチームは船からではなくヴィカーズタウンからの方が道理が通っていると思う。
【低評価点】
無し
【このエピソードについて】
トーマスとジェームスは度々対立することが多いですね。最初の印象では『TGD』の冒頭を思い出しました。
恐らくソドー・ユナイテッドのクラブカラーが青の設定だからトーマスが選ばれたのでしょうけど、何人かはこれをトーマスではなくゴードンにするべきだったと言いましたが、私はそうは思えません。トーマスとジェームスには共通点を多く持っており、殆ど対等な立ち位置にいます。一番(有名な/赤い)機関車になりたいと思っていたり、自分の力を過信していたり、生意気で短気な側面を持っている、似たもの同士です。今期が70周年記念であることを考えれば同じ2巻からの登場だったり、『TAB』でもアニーとクララベルの担当がジェームス→トーマスに変わったという点でも興味深いところがあります。
ゴードンはライバルというよりも、ジェームスが超えなければいけない難攻不落の壁の部類です。競争するにも速すぎるし、試合場所がドライオーであることを考えると、通常ゴードンは支線を通れません*1。対等で青いと言えばエドワードもそうですが、彼はそうするキャラクターじゃないのは火を見るより明らかです*2。
物語は単純です。仕事の時は競争に夢中にならないで、同じ目標に向かって助け合う。それを忘れて注意力が散漫になっていたトーマスとジェームスがフットボールのチームとレフェリーであるトップハム・ハット卿を乗せずに走り出してしまうというもの。トップハム・ハット卿審判出来るのかよって感じですが(笑)
今回はフットボールに関連した人々を乗せる仕事内容ということもあって、叱責もフットボールに関連させて、イエローカードとレッドカードで例えているのが面白かったです。退場と役に立てないのがイコールになるのはちょっと厳しすぎる気もしますけど。思えば教訓もフットボールに関連していますね。試合でもライバル同士の小競り合いに夢中にならずチームとして考えて動く必要があります。
パーシーは今回も生意気な性格が活用されていてとても好きでした。原語版ではナレーターがよく言う「And then there was trouble. (その時、問題が起きた。)」をパーシーが代弁していたのが面白かったです。第4の壁を破ったように見えてトーマスとジェームスに声をかけるようにも見える絶妙な加減がまた堪らないですね。吹替え版では後者に近いです。
競争シーンは注目して引き込まれるものがありました。ハーツホーン版"ジェームスのテーマ"と共に両者それぞれがズームしたりピックアップされます。
ただ疾走感が無いのが物足りないところですけどね。競争に夢中になりながらも支線の速度制限を頑なに守ってるっぽいのはある意味ツボです(笑)
余談ですがジェームスの実機の最高速度は時速112キロ、トーマスの実機は80キロとなっていますが、昨年の公式Twitterにてトーマスの最高速度が112キロという設定であることが明かされました。公式曰く「実機が70マイル(112キロ)だからトーマスもきっとそうだろう」とのことですが、私の見解では70マイルとキロを認識し間違えたのではないかと思います。世界編のキャラクターの性能を表にした書籍でも50マイル(80キロ)でしたので…
Did you know? Thomas is based on a E2 Class 0-6-0 Tank Engine, with extended side tanks. With this, Thomas’ top speed is estimated to be about 70 miles per hour. #Thomas75 pic.twitter.com/baXGOeHaN1
— Thomas & Friends (@ThomasFriends) 2020年4月20日
まあ…そうなると同じ速度同士の対決になるわけなのでライバルに相応しいと言えますね。
ドライオーFC(フットボールクラブ)が再登場しました。これもマイナーな施設で、スピンオフ作品であるジャックと建設現場の仲間たちシリーズの『Thomas and the Moles』で初登場し、それもたった一回の出番でした。しかも日本では公開すらしていません。そう、バスターがモグラの穴を埋めたあのサッカー場です。 再現度は高いですが、初登場時と位置が異なることを考えると、側線の方から駅前に移動してきたと考えるのが妥当ですかね。
どんなに小さなTVオリジナル設定も、矛盾さえしていなければ、別のエピソードで活用してくれるのは嬉しいです。
ソドー・ユナイテッドもS14『エミリーとせんたくもの』からの出番で、役割が与えられたのはこれが2回目です。ところでソドー・ユナイテッドのホームグラウンドってどこなんですかね。彼らの出番も嬉しいけどドライオーのクラブは存在しないのかなー、と。
【チェックポイント】
一つ豆知識をば。このエピソードではバローのフットボールクラブのカラーは赤ですが、現実のバローAFCはソドー島と同じ白と青です。他にイギリスで赤いクラブカラーといえば、クローリー・タウンFCやレイトン・オリエントFCなどがあります。が、権利のことを考えると、ここで現実と異なるのは妥当です。
もし、現実のFCとコラボしていたらちょっと面白かったかもしれませんね。
島の重役も一般の乗客も一緒になって楽しんでるのいいなぁ。
不機嫌なお客さんもフットボールには夢中になれるんですね。
鉄道員もフットボールに夢中になるのがヨーロッパらしいというかなんというか。
「大丈夫かお前!遅いよ!」「おう」「おいノーマークだ」「おう ほら」「こっちだって」
…楽しそう。無責任すぎるけど。
全体的な面白さ:☆☆
鉄道らしさ:☆☆☆
リアリズム:☆☆☆
キャラ活用:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆
アニメーション:☆☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
改めて見返して、アイディアから良く出来ていて面白くて良いエピソードだと気が付きましたが、物語は簡単に予測できるので個人的には10点までは辿り着けません。
2015年に初めて観たとき、私は「Start Your Engines」の看板エピソードの一つでありながら疾走感がなくて退屈だと思い、評価を3点にしていました。当時の私がどれだけ物語を視野に入れていなかったのかがよくわかります。危ない危ない。手遅れになる前に叱ってくださった人々に感謝します。
まあ人の価値観なんてそんなもんなんですけど、ブログで道徳を視野に入れたレビューを行いたいのなら、物事の視野を広くして伝えてる範囲内で理解することを常に自覚しておきたいですね。この物語のように。
総合評価: 8/10