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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第19シリーズレビュー第16回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S19 E21 『Rocky Rescue』『ロッキーきゅうしゅつさくせん』

脚本: デヴィー・ムーア

内容: 横倒しになったロッキーを救出すべくレスキューチームが駆け付けるが…

 

【高評価点】

・ロッキーの性格活用。

・レスキューチームの音楽。

 

 

【低評価点】

・無能に描かれるレスキューチーム。

・今更「チームワーク」。

・転覆したのに走り去っていくヘンリー。

・クレーン車の存在が完全に無きものにされている。

・トーマスの必要性を感じられない。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 私はあらすじを読んだとき、大型救援クレーン車のロッキーが脱線および転覆するという今までになかったネタで非常にワクワクさせられました。コンセプトは良く、実際にその光景は斬新です。ロッキーが脱線する場面は大迫力でした。

しかし、残念ながら私はこのエピソードを好きにはなれませんでした。その理由を話していきましょう。

 

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©Mattel

 まずはアニメーションの演出にところどころ不可思議な点があります。いえ、もしかしたらプロットの穴かもしれません。

(※車輪が消えるCGミスのように小さな粗探し(nitpick)なら目くじら立てず見逃していますが、プロットに関わる事は無視できません)。

 上の画像のように、ヘンリーは崖から落ちるギリギリの場所で横倒しになっていました。同じシリーズの『ヒロをすくえ』で起こった事を覚えていますでしょうか。脱線及び転覆した蒸気機関車は線路に戻っても自力で走ることが出来ません。実際にヒロもそうでした。ではヘンリーはどうでしょう。損傷が激しいのに線路に戻されると何事も無かったかのように走り出していきます。しかも炭水車は転がったままなのにいつの間にかヘンリーに繋がれているという連続エラー付き

 無能な作業員のミスで大きな丸い岩*1がロッキーのスタンドに軽く掠ってしまいます。掠っただけでです。ロッキーの重さと坂の重力によるものでしょうか、トーマスとの連結器が不自然にいとも簡単にパキッと折れてしまいます。もし錆びていたならまだしも、連結器は大丈夫のように見えますが。この鉄道の安全性を疑います。

 そして走り出したロッキーは、ウルフステッド鉱山の前の連続カーブで脱線します。ケイトリンが同じ場所で高速運転ないしエミリーにぶつかってもびくともしなかったのにこの45トンクレーンは遅い速度で何故か転覆します

とまあ、一連の流れはとても不自然でした。最後のは、重力で操縦室の制御が効かなくなりバランスを崩して脱線した描写だったらもっと自然だったかもしれません。

 

 そんなロッキーを見てトーマスは彼に尋ねます。

「脱線した僕たちを線路に戻すほど力持ちのクレーンって、君以外にいるかな」

「たぶん居ないだろうな」

第19シリーズは『TAB』より後に放送された事もあって、多くの人がジュディとジェロームは? と、疑問に思う事でしょう。でも、サム・ウィルキンソンから聞いた話によれば、『TAB』は第19シリーズの脚本よりも後に創られた物とのことなので、まだ脚本の段階ではジュディとジェロームはいなかったのでしょうね。

しかし、私は彼らの事よりも、ノース・ウェスタン鉄道に他にもいるはずの救援クレーン車が何故触れられないのかの方が気になりました。ロッキーが来島した事で消えたのでしょうか*2手が離せないとか、消えたとか、何かしらの言及がほしかったです。

矛盾も含めると救援クレーンを使った事のあるトーマスの出番は不必要だったようにも感じます。適任だったのは…ベルかなぁと。

 

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©Mattel

 教訓は「チームワーク」です。正直またかよと思いましたが同シリーズの『もどってきてティモシー』の強引さよりは遥かに理に適っています。ただその道徳にも問題があります。一つは、作家が伝えようとしている教訓を中心にして物語が押されている事です。その為にキャラクターの性格が動かされているだけのように感じ、シリーズでレスキューチームが得た状況と、構築されたすべてを忘れ、台無しにしています。それぞれが良い結果を出すキャラクターである事はシリーズ通して視ても明白で、ここで描かれている事は全て普遍性の塊です。

もう一つは、レスキューチームが、一緒に居たり、連携プレーをする様子を今まで何年も見てきている事です。『DOTD』ではフリンとベルが見事な連携をいせているし、S17『ソドーとうをまもるしょうぼうしゃ』、S19『トードとクジラ』、『パーシーをきゅうしゅつせよ』ではレスキューチーム全体の立派なチームワークが見られました。これを踏まえるとすごい今更感。それぞれに活躍が多いからお互い自慢したくなってしまったのかしら。

 

 そして、キャラクターの扱い方です。元々フリンは熱意と自信に満ち溢れているキャラクターで、多少の違和感はありませんが、ベル、ブッチ、ハロルド、キャプテンも全員同等レベルの幼稚さで描かれています。いや、無能です

確かにハロルドは初期の頃は生意気でしたが、長年に渡ってある程度の成長を見せていました。

ブッチとキャプテンも熱意と自信に溢れていますが、もう少し落ち着いた性格です。

ベルは彼より上の視点で状況を見つめられます。

これらが道徳に押されていると実感する部分で、非常に困惑します。

S15『とくしゅしょうぼうしゃフリン』、S16『ゆうかんなヒーロー フリン』にも同じことが言えますが、このままでこの回で得た事を基に誰かを救助しに全員で働くことになるとしたら、誰がこんな無能な奴らに救助されたいと思うでしょうか。安全を感じる事も信頼する事も出来ないでしょう。逆に不安です。

 

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©Mattel

 最後に、私にとってポイント高い部分について話しましょう。それはロッキーの性格が出来上がっている事です。ロッキーって普段あまり自分の主張を話す機会が無く、救助に置けるプロットで使われる事の方が多いので、彼が救助を待っている間、作業員とのおしゃべりしている様子がとても新鮮でした。

「待つのは慣れてるし、それもまた仕事ですから」という台詞は、彼の忍耐強さと謙虚さを実感できて良かったですし、「チームの一員ってだけで満足さ」という台詞を発するところも好きです。なんだかんだでチームの中で一番活躍の機会が多いのはロッキーなんですよね。初登場の時点でも利己的にならず落ち着きがある性格とはわかっていましたが、これではっきりしました。

また、その忍耐強さと落ち着きのある性格は後々登場するジュディとジェロームとの対比になっています。それぞれに個性があるので私は両方とも大好きです。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 活躍を見せたくて3度も飛び出してしまうキャプテンは少し面白かったです。

 そんな活躍の機会も掘り下げの機会も無いキャプテンには、彼の性格と立場に関する長文の設定が英米公式サイトで綴られています。その一部を抜粋しますと、”大胆で危険な任務にも動じず、責任が伴う任務では見栄を張ったり身勝手な行動を取らない冷静で優れたリーダーシップスキルを有している。”と、あります。

ここまで活躍の機会が少なくて、もどかしくなってしまったのかな。

 

 

全体的な面白さ:BORING

鉄道らしさ:☆☆

リアリティ:NOTHING

キャラ活用:☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆

道徳教育面:☆☆

 

【最終的な感想】

 会話は自然ですし、レスキューチーム全員でロッキーを救出するというコンセプトも面白いですし、ロッキーの性格と云う救いがまだあるので、シリーズの最悪なエピソードだとは思いません。声優も音楽も良かったです。但し、コンセプトが良いだけに、アニメーションにしろ、プロットにしろ、エピソード全体の出来がひどく残念でした。

レスキューチームの未熟さを成長させたいだけなら、第16シリーズか第17シリーズ辺りに行うか、第19シリーズの1話目なら、まだ少し理に適っていたのかもしれません。その後で『トードとクジラ』等をやっていたらうまく機能したはずです。

 

総合評価: 1/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:ボルダーよりは小さい

*2:もしロッキーの活躍の機会が減って他のクレーン車が退場した場合、S17『ソドーとうをまもるしょうぼうしゃ』と矛盾することになります。