※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
S19 E24 『Wild Water Rescue』『パーシーをきゅうしゅつせよ』
脚本: ベッキー・オーバートン
内容: 市長を運んで写真を撮ってもらいたいディーゼルは、パーシーを騙す。
【高評価点】
・パーシーが本来の性格で描かれている。
・ディーゼルのキャラ開発。
【中立点】
・パーシーは確かにウブだが、古い石切り場と信じ込ませるには極端に見える。
【低評価点】
無し
【このエピソードについて】
ぶっちゃけ1シリーズの中に「救」の変換が出来る吹替え版のサブタイトルが3つもあるという事実に驚いています。混同しそう。
ベッキー・オーバートンが第19シリーズで書いた脚本の中でも、私が本気で楽しんだ作品です。物語は教訓よりも、彼女が得意そうに感じる性格劇です。『ソドーとうのゆきおとこ』ほど馬鹿笑いする瞬間は無かったけれど、キャラクターは良く書かれていて堅実です。最終的に皮肉で終わるストーリーラインが特に面白かったです。
今期のパーシーの描写は全体を通してかなり素晴らしいです。『なぞのきかんしゃジェフリー』も『たいせつなひつじ』も『あかとあおのたいけつ』も『やまのむこうがわ』も『やんちゃなフィリップ』も。それらが共通する唯一の要点は、原作及び初期のシリーズのように、生意気でウブで陽気な性格で描かれていることです。決して第5シリーズ以降や『TOTB』等のように馬鹿に振る舞うアホの子や、内気でビクビクした臆病な性格ではなく。私は彼のサバサバかつ親切な性格の全てが好きです。後先考えずに突っ走る可愛らしいところも、今回は新聞に関するところで活きていました。
現在、私はキャラクターの性格が正しいか否かより、初登場時に与えられた公式設定がどれほど物語で活きるかを評価する傾向にあります。また、性格を大幅に崩さないスタンスで開発が行われたり、徐々に徐々に成長していく事も好きです。学んだことは無駄にせず描いてくれると、もっと嬉しい。
ただ、その傾向上、例え元の性格と明らかに合わなくても全てのエピソードで描かれた事を全部取り上げて語る事は、とてもじゃないけれど、私には真似できません。それは考察が可能な方におまかせします*1。
また、私は、口の動きに合わせて別のニュアンスで話す吹替え版よりも、オリジナルである原語版の台詞からキャラクターの考え方をくみ上げます。
性格の事はディーゼルにも同じことが言えます。自己満足を叶えるために説得力のあるトーンで騙す狡猾さも描かれていたし、素直に謝罪が出来ず「I'm so... I'm so...」*2と、言葉を詰まらせる開発がとても印象に残りました。主にウブな仲間からの感謝の気持ちを素直に受け取れきれないところも、S18『きえたディーゼルきかんしゃたち』に続くディーゼルの面白いところです。
発電機が水に浸かって駄目になることを知らなかったのは馬鹿に見えるかもしれませんが、これまでは蒸気機関車が水に浸かって火室の炎を絶やす事しか描かれなかったので、私としては新鮮で、ディーゼル機関車が水に弱い事を再認識させられました。
性格の事で一つ問題があるとすれば、市長が居る場所として古い石切り場を選択するには極端である気がします。確かにパーシーはウブでしたが、入った時点で怪しい事に気づきそう。
この回でレスキューチームの救助活動履歴が1001回になるという事実。『ロッキーきゅうしゅつさくせん』を観た後だと「正気か?」って感じ。物語の設定として『MIR』の出来事から何年経ってるかは判りませんが結構な頻度で危険に直面しているんですね。島の安全性…。
【チェックポイント】
現在使われていない標準軌の"古い石切り場"って具体的に何処なんでしょうね。ボルダーの採石場?
トップハム・ハット卿は心配させないよう親しげに接しようとしますが、市長は肩を払ったりして好意的ではない態度を取る温度差(?)が面白いです。
全体的な面白さ:☆☆
鉄道らしさ:☆☆☆
リアリズム:☆☆☆
キャラ活用:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆☆
アニメーション:☆☆
道徳:☆☆
【最終的な感想】
キャラクターの魅力的な個性が強く活きていて、お互いに上手く動きました。トーマスを仲介の立場に置いたのも自然だったし。少なくとも、この当時の時点では最もお気に入りのオーバートン執筆回でした。第23シリーズで更に好きなエピソードが出来たからです。
総合評価: 8/10