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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第19シリーズレビュー第15回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S19 E20 『Thomas the Babysitter』『トーマスとあかちゃん』

脚本: ヘレン・フォラル

内容: トーマスは列車に乗り込んだ赤ちゃんが泣き止む方法を探し出す。

 

【高評価点】

・雰囲気に合う穏やかなBGM。

・道徳内容。

・情報量の多いタイムラプスシーン。

 

【低評価点】

無し

 

 

 

【このエピソードについて】

 これを見る事前に、アニーとクララベルが普段からよく直球に物をいうタイプである事をあらかじめ知っておくと良いでしょう。

 

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©Mattel

 赤ちゃんの泣き声が耳障りで嫌う人が居るかもしれませんが、この物語は全てが優しさに溢れています。独創的で、鉄道車両としての擬人化も完璧で、キャッチーなBGMと共にリラックスして観る事が出来、第19シリーズで最も心の暖まるエピソードと言っても過言ではないでしょう。トーマスの支線ののどかな風景と賑やかな仲間たち、そしてトーマス、アニー、クララベルの3台は確かな性格を持って動作しています。

物語の主軸が赤ちゃんを連れたお客さんと云う事で、実際の生活や日常を自然体で描いている事も、私がこのエピソードが好きな理由の一つです。赤ちゃんは鉄道と接点が無い? いやいやそんなことありません。寧ろ乗り物あるあるです。

 さて、泣き止まない赤ちゃんと、一たび外に出れば、周りからの辛辣な視線を感じられ肩身が狭まる、まるで現実を見せられているようです。周りの乗客は勿論、客車のアニーとクララベル達にとっても不快で不寛容。ええ、わかっています。赤ちゃんは泣くのが仕事。それに嫌悪感を示してほしくない母親の必死な気持ちも。複雑ですよね。

でも、トーマスは身を持って赤ちゃんの面倒を見る大変さの理解を示しながら、彼らの気が休めるように、赤ちゃんが泣き止む方法を落ち着いて考えます発車ごとに解決方法が徐々にわかっていく進行も面白くて好きです。

 

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©Mattel

 帰りの列車でトーマスが各駅や踏切で停車する最中のタイムラプスの演出は凄かったです。 CGアニメーション自体もそうですが、情報量も多いです。

人間がただ歩くだけじゃなく、踏切で誰かが会話していたり、牛が通過したり、第18シリーズのバードウォッチャーが双眼鏡で野鳥を観察していたり、ジェム・コールの姿もありましたね。名前を持たない人間キャラクターをこのように再利用しているところも好きです。

 

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©Mattel

 私の最大の評価ポイントはズバリお客さんの設定です。彼女の旦那は鉄道員(作業員)としてノース・ウェスタン鉄道で働くアルバート。こうやって作業員一人一人にも名前と家庭があるんだという設定は素晴らしいです*1アルバート自身が手伝えていない事や妻が寝不足な事を自覚していたという背景の描写も大きなポイントです。家庭のために働き、家庭をきちんと見ているいい旦那さんですね…。

 そして、そんな疲れているアルバートの妻の為を思って、上司のトップハム・ハット卿はアルバートに育休を与えてくれます。もうね、トップハム・ハット卿の株爆上がりですよ。経営者の鑑…いえ、事業のあるべき姿ですよ。

トーマスも、アルバート妻と息子が休めるように休憩時間にノンストップで支線を走るしトップハム・ハット卿も「実に親切だ」と許可を出すし、なんだこの神対応は。私もノース・ウェスタン鉄道行きてえ。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 冒頭ではアルバートが妻の為に小走りでチケットを渡したり、ベビーカーを乗せるのを手伝ったり、小さく手を振る様子が描かれています。細かいアニメーションが大好きです。

 アルバートの妻の目的が何だったのかは不明です。ファークァーの駅の中に用事があったのか、それとも息子をあやすために列車に乗ったのか。

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©Mattel

 トーマスがファークァーからナップフォードまで向きを変えて走る理由づけとして、ファークァー駅の奥にループ線が設けられたようです。

タンク機関車なら後進運転が楽に可能なので原作ではクララベルの前に立って後ろ向きに走る描写があるのですが、まあ辻褄合わせならいいか。

 

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©Mattel

  実はこの場面の奥にデイジーが走っていたりします。第19シリーズが『SLOTLT』より前の時系列と云う事もあって、デイジーがハーウィックに移行する前にトーマスの支線で働くという描写なのですが、残念な事に直前でスタンリーの旅客列車が駅を発車することを鑑みるに、goof扱いになります…。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

リアリズム:☆☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:BRILLIANT

アニメーション:AMAZING

道徳:☆☆☆

 

【最終的な感想】

 初めて見た時はトーマスと赤ちゃんを取り巻く周囲の反応から、視聴者に賛否ありそうだなと思っていたのですが、案の定批判もよく見かけましたね。主に進行形で実際に赤ちゃんを育てられている世のお母さま方から。批判のポイントはそこじゃないよと思いつつも、もし子育てに疲れて弱っているならばその一点張りに集中してしまうのも無理のない話だとも思います。

余裕が出来たらトーマスとアルバートの行動にも目を向けてください。

 

 子育てに疲れた妻を休ませたり、問題解決を探ってとりあえず何かをやってみる、とても大事なことであり、良い道徳です。私ももし仮に結婚したら見習わなければ。

ヘレン・フォラルは本当に温かみのある素晴らしい物語を書きますね。音楽のロバート・ハーツホーンも、アーク・プロダクションの制作チームもそれに伴って非常に良い仕事をしたと思います。私にとって『トードとクジラ』と並ぶ第19シリーズで最も好きなエピソードの一つです。

 新たに「トーマス」という名前が付くキャラクターが増えたわけですが、この赤ちゃんの「トーマス」くんが成長して、機関車のトーマスに話しかけるところをいつか見てみたいなと思いました。

 

総合評価: 10/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:アルバートの妻は第15シリーズから何度か登場していますが、アルバート自身は今期が初登場です。