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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第19シリーズレビュー第13回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S19 E13 『Helping Hiro』『ヒロをすくえ!』

脚本: マーク・ハッカビィ&ニック・オスラー

内容: ヒロを脱線させてしまったトーマスは、彼の部品を捜しに森へ入る。

 

【高評価点】

・大迫力の脱線シーン。

・トーマスの恐怖心をより強調させる暗闇の演出。

・過去の長編2作品で得た知識を活用。

 

【低評価点】

・オチはかなり弱く、中盤の冒険を全て無駄にしている。

・都合よく急旋回するハロルド。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 『伝説の英雄』(以下HOTR)との連続性が垣間見える、トーマスとヒロの友情物語です。あれから7年も経つので今更感はありますが、私はこういう続き物は大好きです。そして好きな瞬間がいくつも存在しました。特に今回はアニメーションと美術が本当に素晴らしいです。紅葉彩る森の中の景色には特に注目してください。更に鹿のレンタリングはS17から格段に綺麗になっています。そしてS17『ヘンリーとヒロ』と異なりトラバーサーでの場面には拘りが見えます。

しかし、好きな事と同じくらい、ため息と共に疑問に思う事がいくつもあります。

 私はこのエピソードを評価するに当たって何が良くて何が悪いか説明することが非常に難しいと感じていました。今もそうです。まあ、とりあえず書いていきましょう。

 

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©Mattel

  まずはヒロの転覆シーン。これは本当に大迫力でした。従来のコミカルな物ではなく、音楽をカットし効果音を強調させることで事でより悲壮感が増し、まるで私にもトーマスの罪悪感が身に染みるようです。音響が本当に素晴らしい仕事をしています!!

 ところで何故ハット卿はそんな彼を動かそうと思ったのでしょうか。ハット卿の視点から容体が見えないにしても、転覆した機関車は動くことが出来ません。特に土などの異物を抉るように倒れた場合。

同シリーズの『ディーゼルクリスマス・キャロル』と『ロッキーきゅうしゅつさくせん』の矛盾にも同じことが言えますが、それらとは相反してリアリティを重視している為、結果的には大丈夫です。壊れたヒロのディティールも素晴らしいです。

 

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©Mattel

 もう一つ特筆すべき点は、『ミスティアイランドレスキュー大作戦!!』(以下MIR)ソルティーから得た知識を再び活用していることです。ハロルドの飛ぶ音が聞こえてきたその時、トーマスは蒸気を上げて煙の信号を送りました。過去作の物を別の場面で有効活用する事は素晴らしいと思います。私はこういうのに目がないのです(笑)

 ハロルドの場面は少し違和感です。シナリオ進行の都合に合わせて謎の急旋回をします。今こそパイロットの様子を映すときだったのではないでしょうか。機関車にしろどうか乗組員にも焦点を当ててください。

 

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©Mattel

 ”ヒロの居た森”を再び探索するという物にはとてもワクワクさせられました。失敗に伴う焦りと友達を助けなくてはならないという固い決意をするトーマスは何と勇ましい事か。もちろん無謀ですが。

 結局トーマスが行ったことは全て無駄に終わりました。ここは問題ではありません。脚本家が物語上で伝えたかったことを模索するのはそう難しくはないです。セグメントのLife Lessonを観る前の時点で、確認を取る事や、もしもの時の為出かける前に報告をするなどの教訓があるだろうなとは察していました。これは正解でしたが、友達を助ける道徳と、それを伝えるには物語はかなり弱いです。

 今回の早合点はトーマスの利他的な熱意と罪悪感にある事は明白ですが、まずソドー整備工場を訪ねる方が自然なのではないかと誰もが考えると思います。S17『ヘンリーとヒロ』はともかく、彼は『HOTR』の最後にソドー整備工場から出てくる彼の姿を見ている筈ですので、『HOTR』で森から脱出する際に落ちた部品を予備に使うつもりならまだしも、工場に部品が無いと決めつけることが私には不思議で仕方ありませんでした。それに森には壊れたヒロ以外に何も無いからこそトーマスは島中を駆け回りました。長編序盤の台詞だけを読み取った失敗例かなと思います。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 そういえば「Master of railway」と呼ばれた経緯は知っていても、理由までは把握してないんですね。それとも知ってる上でわざと知らないふりをしているのかな。いずれにせよ、どんな理由が込められていたか気になりますね。(白目)

 

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©Mattel

 回想では『HOTR』でヒロを発見した場面がそのまんま流用されます。たとえCG制作会社やCGの質が異なっていても、こういう流用は好きです。 

 

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©Mattel

  アニメーションと演出に関してもう一つ好きなことがあります。日が暮れて段々と暗くなるにつれ、自然現象や動物が音楽も相俟って恐ろしい物に見えるだけでなく、壊れた線路が振動でガタガタ揺れるという演出にリアリティもあり、秀逸でした。次に何が起こるのかワクワクさせてくれます。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

鉄道らしさ:☆☆☆

リアリズム:☆☆☆

キャラ活用:☆☆

BGMの良さ:AMAZING

アニメーション:AMAZING

道徳:☆☆

 

【最終的な感想】

 結局の所、私はこの話が好きです。私の覚えた違和感というものは、ハット卿でもハロルドでもなく物語後半の微妙な〆かもしれません。ちょっと腑に落ちない。でも平和に解決して良かったです。(?)

キャラクターの扱い方はシンプルながらも良いです。トーマスの極端な子供っぽい振る舞いは彼の憧れであるヒロの前だからこそ気になりませんでした。

 

総合評価: 6/10

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