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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第22シリーズレビュー第16回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の感想は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S22 E23 『Runaway Truck』『かしゃをとめるワザ』

脚本: デヴィー・ムーア

内容: ヨンバオはせっかちなトーマスの為に貨車を救う技を身に付かせる。

テーマ: 応用を落ち着いて挑戦し続ける

 

 

【高評価点】

・中国の武術文化の一つ”太極拳”を説明しながら、それを例えにプロットに組み込んでいる。

・ヨンバオのキャラ活用。

・信号所のギャグ。

 

【低評価点】

・蛇足なファンタジー・シークエンス。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 感動大作です。長年変わらなかったトーマスの技術力の成長を直に感じられます!!

…ここまで建前。でも大袈裟に言っただけで嘘じゃありません。テーマは「新しい事を落ち着いて挑戦し続ける」。新しい事とは意訳すれば今回の場合「応用」でしょうか。基本的に貨車のレイを救うトーマスの成長に費やした物語なので少し内容は薄く特筆すべき素晴らしい点もありませんが、これまでの中国回に比べて面白くて良かったです。

まずキャラ活用が良い感じです。トーマスはまだ非常に純粋な性格で描かれていますが、不注意な部分が目立ってて良いです。また、前回では空気だったヨンバオがヒロイックな一面を見せたりエドワードのような真面目で優しい先生として躍動したのが素晴らしい。大型テンダー機の彼が入換え作業で機敏に動くのは聊か違和感でしたが。

 

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©Mattel

 そしてヨンバオの教えた技は思わぬ方法でした。それが太極拳!

機関車に武術が出来ないように、もちろん実際に太極拳のやり方を教えたわけではありません。太極拳はあくまで例で、彼らの動きのように貨車と一緒に動きながら止めるということでした。中国の文化が鉄道的なプロットに上手に組み込まれていると実感した瞬間。完璧ではないものの斬新で面白い方法です。

 

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©Mattel

 無理に入れた感はないですし、無駄にかっこつけたり称賛される期待を持つところは子供との共通点があって微笑ましいですが、今回のファンタジー・シークエンスは完全に蛇足でした。事の始まりの前にこの空想を持ち込むと「ああ、事故るんだな」と予測できてしまい物語をつまらなくさせてしまいます。

 

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©Mattel

 モブキャラクターの新人信号手への教習が事故の原因に繋がるという一工夫が好きです。ヨンバオがトーマスに技を身に付かせているように彼らもレッスンしていた、みたいなサブプロット…良い。

教え方もアジア的というかなんというか、よく見ますよね。個人的に親近感がわく演出でした。一番手前の新人君は空間把握能力に欠けているのでしょうか。この人にも個人的に親近感が湧きます(笑)

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

  突然の新キャラ、有蓋貨車のレイ。この回のみに登場する小さな役割のキャラクターで、ひっくり返って車輪が取れたり、ひたすらトーマスの練習台にされては何度もバタンバタンと倒れるという端から見れば非常に可哀想な役回りなのですが、どうやら自分の好意で付き合ってる様子。

他の貨車と違って問題を起こした際には反省するなど性格は善良で、暴走や脱線は好んでいないけれど、気を遣ってるのかただ呑気なのか助けてもらえればひっくり返っても感謝して喜ぶなどちょっと面白いキャラクターですね。また、そのあまりマトモじゃない言動によってヨンバオの真面目な性格が際立つのも良いところです。

 最も、アンアンとインロン同様に現地の貨車を基にモデリングされていたらもっと良かったのですが。アフリカやインドのように旧イギリスの植民地ならばまだしも、全世界に英国型の貨車が出回ってるのも不思議な話で。でも、急ピッチな制作では状況的に致し方ないでしょうね。

 

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©Mattel

 私がこの物語で一番好きな場面が終盤の暴走シーンです。なんといってもBGMがアツイ!! 一瞬だけ映る、真顔で状況判断するトーマスの場面が特にお気に入りです。

この場面では非現実的なアクションが多く描写されますが、オープニングのゴードンの丘からジャンプする馬鹿げたアニメーション*1程は気になりません。加えてプロットへの影響も薄いです。レイの複線移動は岩に乗り上げた事が起因ですし、彼は常にグラグラ揺れているのでポイントも飛び越えているのかもしれません。そしてトーマスのあり得ないスピードは最高速度50-80キロ+重力によるものと解釈しています。

『Number One Engine』のホンメイよりはまだ良いアニメーションです。

 

 

全体的な面白さ:☆☆☆

鉄道らしさ:☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:PERFECT

アニメーション:☆☆

道徳教育面:☆☆

 

【最終的な感想】

 普段はリアリティにうるさいので信じられないかもしれませんが、今期で好きなエピソードの一つです。シーズンが22を周ってもまだ新しい事は見つかる物ですね。今期からの世界旅行で斬新な方法から学び、シリーズ的にも生産性のある成長をする瞬間が好きです。勿論前回までの話でそのコンセプトの失敗も実感していますが、少なくとも今回は成功しました。後はこの成長が今後のエピソードにも活きるといいなぁ。

 

総合評価: 8/10

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。

*1:本人自称「トーマス・ジャンプ」