Z-KEN's Waste Dump

喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

【My Thought】 2D期について今思う事

※記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。また、ファンに対するヘイトスピーチを意図する物でもありません。

 

 さて、2D期がマテルの方で正式にプレスリリースとして掲載されました。3DCG好きな私にとっても色々物申したい事はあるのですが一先ず現時点で私が2D版の発表に対してどのような考えでいるか意見を述べようと思います。

現在に至るまでの歴史を踏まえた上で語りたいので、長文になる事はご容赦ください。

 

 

【トーマスのデザインについて思うこと】

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©Mattel

 まずはぱっと見のキャラクターデザインについてです。このプロモ画像のトーマスが恐らく2D期で反映するものになるのでしょう。

前回の記事で触れたように、ランボードが真っ直ぐになり、顔が一回り小さくなるといった原作絵本の要素が取り入られているものの、従来のものと比べて大幅に異なっています。

トゥーン調にデフォルメするにしても、煙突の形状が変わり、汽笛は枝分かれしながら極端に大きくなり、車輪には連結棒さえ無く、運転室は人が出入り不可能です。そして何より顔は殆ど面影がありません

 

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汽車のえほん2巻より

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第1シリーズ『トーマスとゴードン』より

 テレビシリーズのトーマスは、レジナルド・ダービーの挿絵を基に、ロバート・ゴールド・ガリエーズらが忠実に再現し、何年もの間、絵本から飛び出したような高いクオリティを維持しました。

 

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第16シリーズ『ピーター・サムのるすばん』より

例え10年に渡って脚本の質が落ちたとしても、CGでもなお、ヒット社及びナイトロジェンスタジオは外観や重量感を継続しました。

シリーズの原案であるブリット・オールクロフトが2001年にデザインを始めリアリズムや細かいところまでブランドのライセンシーを基準として厳しく設定し、彼女のビジョンに沿ったものに維持すべく、常に企業に申請を送っていたからです。ヒットはそれに従ったと考えられます。

 

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『トーマスのはじめて物語』(2015)より

マテル及びアーク・プロダクション(現ジャム・フィルド・トロント)移行後も、暫くの間はより挿絵に近づきましたが、マテルは恐らく別の事をやりたかったのでしょう。

特に2018年のBWBA期の前後では、それまでの物を忠実に継続しつつも、その片鱗が垣間見えました。

 

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©Mattel

 本来やりたかった結果がこの2D仕様のデザインで、この先も同様のテレビシリーズとして受け纏うというのなら、マテルはブリットのライセンシーに反しており、過去に携わった人々やその"基準設定"から学ぶべきだと私は思います。

 

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©Ken Stott

絵本など他のメディアミックスでさえライセンスに従い、出来る限り寄せる努力をしていたのにもかかわらずです。

 

 

 正直なところ、これは何かの軌道を正すより、かなり企業的な物に見えます。

CGの移行も企業的といえばご最もですが、未就学児向けのアニメにしてはもっと興味や関心をあおりたてられるものがあったからです。CG移行当時、私はとても興奮しました。

顔と車体のデザインからは、ごく一般的な未就学児向けのカートゥーンと殆ど変わらないものにしか見えません。顔を幼児に寄せれば、広い層に受け入れやすくなる利点はあるかもしれませんが、もっと良い方法がある筈です。

以前にも言及しましたが、変化によってアイデンティティを失う事が、私が何より恐れている事です。

 

 そして私が一番認めたくないのは、このデザインで第25シリーズの『Thomas & Friends』として継続して扱われるという事です。もし、スピンオフ的な物、あるいは完全なリブートならば、まだ納得がいき易いでしょう。

更に自社を含む全ての高品質に仕立て上げてきたおもちゃ業界にも大打撃を食らわないか心配です。まあ、キーホルダーなど小物グッズはぶっちゃけ見てみたいですけどね。

 

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 そうそう、第23と第24シリーズで謎に追加されたリベットの要素は、顔のフチの方に移行したようです(?)

 

 

【2D化について思うこと】

 こう言った変更があると必ずどこかで人形劇に戻せという声が上がりますよね。

そもそも第13シリーズ(2009年)から3DCGになった理由は、模型作成などに当たるコスト削減と、人形劇で表現できる限界に達した為でした。

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第13シリーズ『ガタガタクランキー』(2009)より

第16シリーズまでは暫くコストを抑える形で、固定カメラを多用しながらも、変わった角度とクオリティの高いモデリング、模型では再現できないような迫力のあるアニメーションで、映像美を魅力的に見せる工夫をしていました。

 

 CGアニメーション制作会社がアークに変わった第17シリーズ以降の作品(2013年)からは、その制限が吹っ切れたように、多数のキャラクターとロケーションに加えてかなり自由度の利いた表現が可能になり、コストをかけて制作されていたようです。

ナレーターを務めたマーク・モラハンが当時言及したように、この時点では人形劇の多くはアニメーションに移行しており、模型のままでは時代に取り残される可能性さえあった為、好機ではあったと思います。

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『探せ! 謎の海賊船と失われた宝物』(2015)より

 2015年には、模型では機能的に表現不可能であったアールズデール鉄道が原作絵本から進出したほか、より一層綺麗な映像で視聴者を魅了しました。

 

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『とびだせ! 友情の大冒険』(2017)より

 ところが、翌年にアーク・プロダクションは破産申請を出し、閉鎖されました。

幸いにもジャム・フィルドが同月に買収した事で、トロントの支社として活動を再開しましたが、『JBS』(2017年)では、映像の細かい部分が未完成のままの販売となり、更にマテルによる突然の方針変更に伴い、ソドー島以外に世界各地の情景のモデリングを余儀なくされます。

 

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4-D『Bubbling Boilers』(2016)より

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第23シリーズ『チャオ!とんでうたってディスカバリー!!』(2019)より

それ以降、映像はそれまでに比べて粗が目立ち始めました。

当然、CGモデリングとアニメーション作成にも時間とコストがつき物です。よく言われるCGが安いと言うのは、精密な模型作成に比べればの話であって、高品質なクオリティを維持するにはほぼ同じくらいの手間が掛かる可能性があります

1年休まずノンストップで制作を続ける必要があった事と、破産による時間の穴埋めの必要がある事を考慮すると、これは憶測でしかありませんが、以前までの余裕が無くなった可能性があると、私は映像を見て感じています。

なので、そういう意味では、2D化については一周回って理にかなっていると思いました。全画面砂漠化あるいは情景を流用しなくてはならない状況にはなりにくい事でしょう。観たい気持ちもわかります。しかし好きな人には申し訳ありませんが、予算と時間に追われるか、現代の子供たちが受け入れられるかどうかになってくると考えられます。

 

 私としては、「子供の為」の言い訳にならないようなクオリティである事を切に願います。私の希望的観測になりますが、もし、仮に充電期間の為の措置ならば歓迎します。(願わくばその2年後に可能なら3Dに戻ってほしいところですが)。

 

 

【コメントの苦情とファンダムについて】

 最後に、私は前回の記事ならびにTwitterで、第4シリーズの挿入歌と、第23シリーズの教訓に肖り、"Don't Judge a Book by its Cover"の一言を用いました。何も私は他のファンダムに「現実を受け入れろ」などと言及はしていませんし、価値観を押し付けるつもりさえ毛頭ありません。当然多くのファンがこの現状を嫌う事も、界隈が荒れることも想定内です。特に怒るためだけに観る人が多いのも容易に想像できます。

だからこそ、一抹の不安から感情任せに暴挙(馬鹿げたデモのハッシュタグなど)に出ず、物事を冷静に視る必要があると感じて居ます。亡き原作者の思想に反しているとしても代弁した気になっている輩は言わずもがな

CG以降時やBWBA公開当初との状況は土俵が違いますが、こと内容に関しては各シリーズ1, 2話観て判断することが公平です。

とはいえ、ストレスを抱えたまま視聴するつもりならば強制しません。他の良い方法を見つけてください。最も、マテルが"友情に焦点を当てた未就学児向け作品"と捉えている限り、フランチャイズの軌跡は変化しないでしょう。

 

 

 ここで話したのは、あくまで外観の部分で思っている事だけです。中身について知る機会が増えたら、S25レビューに全てを書きます。

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第22シリーズ『かしゃをとめるワザ』より

 BWBA期がそれまでのシリーズの重要な部分が継続されながら行われた事を考えると、私はプレスリリースでの発言を出来れば信じたいです。裏切られても構いません。しかし、子供に受けて成功するかどうかはまだ誰にも判らないので、2021年に何を齎すか待つことにします。

 さて、2D期も続けてレビューを行うと宣言しましたが、1シリーズ52話を個別記事でレビューするのは、常に時間に追われている私にとって負担になる為、魅力的なエピソードを特筆する形で(その逆も然り)、それ以外は年末に予め纏めた記事を投稿する形にしようと思います。

 まあ、どんな形であれ2021年も番組が終わらない事は私の数少ない喜びです。

 

※この記事に添付したスクリーンショット著作権は全てマテル社に帰属します。