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喋りたがりの きかんしゃトーマスオタクによる雑記

きかんしゃトーマス 第24シリーズレビュー第20回

※この記事にはネタバレが含まれています。

また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。

 

 

 

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S24 E17 『Cleo the Road Engine』『クレオはめずらしいクルマ』

脚本: ローラ・ボーモント&ポール・ラーソン

内容: クレオはトーマスとの競争で線路に乗った時、初めて自分が道路用である理由を知る。

テーマ: 忠告があるときは物事を始める前に聞こう

 

【高評価点】

クレオの性格はなじみやすく、トーマスの生意気な性格も誇張されない範囲で楽しい。

・ペースの良さとコミカルかつ迫力満点な映像。

 

【低評価点】

・ルースはクレオに毅然とした態度で注意するべきだったと思う。

 

 

 

【このエピソードについて】

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©Mattel

 はい、ケンジの次にはクレオが導入するエピソードが待っていました。『トーマスとバーティーのきょうそう』のようにトーマスが道路走行車のクレオと競争する物語です。物語自体はとてもシンプルで、ルースは届け物をするためにクレオに乗って移動しますが、クレオはどちらが一番速いかに夢中で線路に入り込んでまでトーマスとの競争に勝とうとします。

 初登場のクレオはもちろんのこと、トーマスの性格は上手く型にはまっていました。節度を弁えながらもすごく生意気で、初期に近いものがあったと感じています。まあ…競争心を煽っただけですけどね。

バルジーも脇役で登場しますが、「Free the roads」を出てくる度に唱えてクレオに驚くのみで、特に役割はありません。クレオが実際に蒸気機関車に見えるかどうかはさておいて、私はクレオとバルジーの絡みをもう少し見たいと思いました。

 

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©Mattel

 クレオの初登場回であると同時に、ルースのトーマスの支線沿いでの初めての日常を描いた話であることも興味深いと思いました。ナップフォード駅に行くまでに郵便物を近所のポストに入れたり、マッコール農場で卵のパックを受け取るなど、ちょっとした用事を済ませるという普段なかなか描かれることのない田舎の落ち着いた日常的な光景に惹かれましたし、その度にルースがハンドブレーキをかける、即ち競争に夢中なクレオの思い通りにならず停車するのが面白かったです。その点では卵が割れてしまうオチも(汚いけど)良かったと思います。

 そのちょっとした用事を済ませる事も関係あるかもしれませんが、ルースが日常的に"空飛ぶ車"を使うわけではないことと、空飛ぶ車を使うには世界ではまだ早すぎることを認めたことにも感心しました。これが私がルースを信用できるポイントの一つです。まあクレオもやばいっちゃやばいですけど。(笑)

 個人用の乗用車という面では既にキャロラインが居ますが、タンク機関車に匹敵する速さで、バス停に停まる必要のないキャラクターが機関車と競争するといった点で、新しい道が開けた気がします。

 

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©Mattel

 競争ネタは第18シリーズ(2014)を除いて2013年から毎年展開されているんですよね。2013年以前ではそれが新鮮でしたが、今は正直見飽きています。そしてそれぞれの性格に差異はあれど男女問わず競争好きなキャラクターが増えすぎたことにも。

ですが、自動車が線路に侵入して疾走するのは今までにありませんでした。ここからの展開は非常にテンポよく危険性を示していてとても楽しみました。ゴードンはこの前自分のやり方が間違っていたことを学んだばかりで、それより前の『KOTR』等でスティーブンを目の前にして急停車したことを考えると、クレオにぶつかっても猪突猛進に止まる気がないのは結構驚きましたけどね。

 道徳のテーマは競争ではなく、物事を始める前にアドバイスを聞こうというものです。お浚いでは「新しいことに挑戦するのはすごく楽しいけど危険性については最初に考えておくべきだ」と語られています。クレオが出来たてホヤホヤの個人用乗用車であることを考えると、彼女は規則と安全性について何も知らないのは前提です。なので、ルースはやや毅然とした態度でクレオに忠告するべきでした。身を持って危険性を知る羽目になったものの結果的にクレオは競争と線路を走った楽しさしか頭になく、運が悪ければ運転席のルースが命を落としていたかもしれません。

まあ…今時子供を叱るのが難しいご時世なのは理解しています。

 

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©Mattel

 ルースが発明した自動車のクレオ(Cleo)。ネイティブ英語ではクリオに近い発音になります。まあどちらでもいいでしょう。公式HPによると機関車の部品から作られているようです。内部の機構が露出しており、セオと同じ形の歯車の駆動システムを持っています。もしかして実験場でセオ作ったのって…いや、きっと考えすぎですね。

 おそらく造られたばかりなので、クレオは純粋無垢で好奇心旺盛な元気いっぱいの幼児のように振る舞い、相互作用と成長の余地がたくさんあります。ハリエット・カーショウの舌足らずで可愛らしい声も含めて彼女のキャラクターが大好きです。

 

 タイトル通りクレオは劇中でロード・エンジン(道路の機関車)と呼ばれています。エピソードの行動から呼ばれるならまだわかりますが…うーん、蒸気機関車に見えるかと言ったらよくわかりません。蒸気が出るわけでも飾りの煙突があるわけでもないですし、私にはちっちゃな消防車のように見えます。だけど、タイヤのホイールが機関車の車輪によく似ていますね。バッファーみたいなライトと丸っこいフォルムもそういうことなんでしょうか。

 

 それとどうもクレオは自動運転が出来る様に見えるんですよね。英米公式HPにその設定の記述が無いですし物語の中でも特に言及はありません。なので正しくアニメートされていないのか、個人製作の発明品だから何らかの不具合でスピードが上がる=クレオとしての擬人化なのだろうと思っていたのですが、『Cleo's First Snow』でそれがはっきりと色濃く描かれています。運転席のハンドルやハンドブレーキ、そのほかスイッチ類はある程度制御するための物なんですかね。

余談ですが、自動運転車という物はレベル5相当の完全自動運転まではいかないにしても、現代では着々と開発がすすめられています。開発が始まったのは古くて80年代で、もし番組が40~70年代の設定を意図しているのならば、お察しの通り。他のキャラクターと違って自分の意思で走れたり、現実の車両の比べると奇妙ですが、彼女はルースの発明品であり、フリーランスで実際の自動車がモデルになっていない事は理にかなっています。

 

 

【チェックポイント】

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©Mattel

 クレオがバックに切り替えたときのゴードンが迫ってくる感じは迫力があり、恐くて、ドキドキしました。

 

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©Mattel

 さてクレオの車体がジャッキアップによって方向転換するのはかなりトンデモ機能な訳で。物語に直接関係無いですし、気を散らす事も無かったので気にしませんが、国内外問わず話題が続いたので私の見解を少しだけ話させてください。

 方向転換といえば、スキフも、台車のレバーを引いて船体の向きを換える仕組みがありますが、スキフの場合は台車から取り外し可能な帆船であり、風を受けて走行するために向きを換えるのは必要不可欠です。

ならクレオはどうかというと、特に意味は無いような気がします。彼女は自動車ですし、オープンカーで後方の視界も開けている為、そうなるとハンドルの必要性が最早わかりません。そんな余裕があるなら曲がればいいだけの話です。もしルースが空間認知に欠けていてバック運転が苦手とかいう設定があるならまだしも。

 また、この機能がありながら、クレオの玩具がまだフィッシャープライスから出てないのはとても不思議です。プラレールマイティマックのような事が出来るのでは。というか純粋に欲しいです。

 

 

全体的な面白さ:☆☆

鉄道らしさ:☆☆

キャラ活用:☆☆☆

BGMの良さ:☆☆

アニメーション:☆☆☆

道徳教育面:☆☆

 

【最終的な感想】

 クレオを紹介するには良いエピソードだったと思います。彼女がどんなキャラクターかわかりやすく、斬新で、ペースが良くて楽しかったですが、道徳の面でもエピソードの面でもシンプルで予測しやすいのが正直に感じた点で、そういった意味では私の評価は「平凡」です。クレオに対していかに危険性を認識させるかについても議論の余地があります。

 

総合評価: 6/10

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