※この記事にはネタバレが含まれています。
また、記事の内容は個人的な意見であり、他者の代表ではありません。
S24 E20 『Thomas' Animal Friends』『トーマスとどうぶつきかんしゃ』
脚本: デヴィー・ムーア
内容: 動物園を手伝うことになったトーマスは、思った以上の仕事があることに気づく。
テーマ: 役立とうとして馬鹿げた気持ちになった時
【高評価点】
・パーシーがジェームスと対等に扱われていたり、ゴードンが着飾るのを嫌がるなどキャラクターの扱い方。
・レベッカのキャラ開発。
・劇中で関連づけられている『Shankar's Makeover』とは別のパターンの道徳。
【低評価点】
無し
【このエピソードについて】
IMDbでサブタイトルが判明したときはまた動物絡みかよと同時にデマだろうと思いましたが、公式ウェブサイトに塗り絵、そしてABC Kidsの公式ページでサルの顔をしたトーマスと、ライオンの顔をしたジェームスのスクリーンショットが公開され、一体どういう状況なのだろうと良い意味でも悪い意味でも興味を持ちました。
これに限らずですが、古参ファンの間で一枚のスクリーンショットで「機関車が動物のコスプレをしている」と叩く人が多かったのも印象に残っています。結果論がどうかにかかわらず見る前に極端に判断されるのは悲しいので、私は常に「Don't Judge a Book by Its Cover」を提唱します。『トビーのなかみはゆうかん』を観て何を学んだんですか。ああ、観てないのか。
私の中では思っていたよりも面白かったです。実際に動物の格好をするのは観光列車を牽くトーマスだけで、それ以外は彼とレベッカの空想によるものでした。『Shankar's Makeover』との連続性があるように、トーマスはその時の格好と照らし合わせますが、私はなぜか旭山動物園号に近しい列車を思い浮かべました。屋根の上の尻尾はともかくこういうのありそうだなと。
はい、機関車が特別な格好を身につけて、それを3回他の仲間にからかわれたり驚愕されて最終的に隠れる流れについてS13『スリップにちゅうい』との類似性を指摘したくなる気持ちはわからないでもないですが、ここでは記憶に残る方法で遥かに良い道徳を持っている所がミソです。
確かに前回の"そのうちに楽しむ事"よりは日常的に親しむものではありません。(お客を楽しませるために任されたイベントの)役に立とうとしているのに笑われても、それを気にする必要はないというのが今回のテーマです。そう、つまりは希望性で行われたイベントである『Shankar's Makeover』とは逆パターンのエピソードになるわけです。
その道徳をトーマスに教えたのがレベッカというところも素敵なポイントです。彼女は純粋かつ素直に物事を楽しめる性格なので、気を遣うことも馬鹿にすることもなくトーマスの格好を褒めました。そこで笑われるのが嫌で隠れているトーマスのために、自分や他の仲間たちも同じ動物の格好をしてる所を想像して一緒に楽しめばいいと提案します。もちろん彼女は他の仲間を馬鹿にしたいわけではありません。舞台に不安を持つ人をリラックスさせる最適な方法の一つを彼に教えています。本当に良い子。典型的な例を挙げるなら「観客を野菜に見立てて発表するといい」みたいな感じです。
また、新参が古参に適切な方法を教えるというのも私の好きなところです(笑) レベッカならどんなイベントも心から楽しんで行いそうですね。
それと、彼女が空想内でアイディアを出すとき、それぞれの仲間たちの良いところを思い浮かべながら動物に当てはめているところもレベッカらしさがあって大変素晴らしいです。
レベッカのみならず、他のキャラクターも適切な役割を担っていたと思います。ゴードンなんか特にそうで、トーマスに対して苦言を呈すのみですが、S7『ベストドレッサーはだれ』のように威厳を重視する性格が引き継がれており、機関車がふざけた格好を着飾るのはやはり嫌いであることが描写されています。ディーゼルは言わずもがな。
パーシーはジェームスと対等に描かれていました。これも私の好きなちょっとしたポイントです。悪戯好きで生意気なトーマスを冒頭の悪戯好きなサルと照らし合わせて面白くなっちゃったんでしょうね。さすがのトーマスもこれには大打撃でした。
【チェックポイント】
フルーツをぶちまけて集めるのはいい方法ですが、群がる動物の前で車両を勢いよく走らせてぶつけるのは危険なので絶対に真似しないでください。
台詞はありませんでしたが、女性の飼育員が初登場し、トーマスにサルの格好をさせる役割で中央に映ったのも良かったです。
全体的な面白さ:☆☆☆
鉄道らしさ:☆☆
キャラ活用:☆☆☆
BGMの良さ:☆☆☆
アニメーション:☆☆☆
道徳教育面:☆☆
【最終的な感想】
第24シリーズの事実上の最終回は中編『Thomas and the Royal Engine』ではありますが、短編の最終回としても相応しい、思い出に残るユニークなコンセプトの楽しい回だったと思います。私は正直S21『こしょうしたハーヴィー』よりも説得力を感じられて好きでした。
総合評価: 8/10
【シリーズ全体のちょっとした感想】
不完全な布石を残して最高のエンディングを飾りました。事実上の終わりとリブート先が見えている今そう言えます。今期で行った事は75周年記念ということもあって、特にイベントの多いシリーズでした。誰かのヒーローになる救出劇と助け合いを主軸にし、発明家の友達と共にテクノロジーな舞台を駆け回り、女王からロンドンに招待されるなど、お祝いと何か特別なことをしようという意気込みを感じます。但し、焦点は一貫してスチーム・チームとテクノロジーフェアに携わった車両と人々のみで、絵面としては派手でも色彩が地味なイメージです。
発明と言う新しいテーマを基にどのように見えるか実験していたようにも見えますが、BWBA期でありながら世界編が5話しかなくそれ以外はソドー島と1話だけメインランドという構成で、良くも悪くも第21シリーズ以前に通ずるものが感じ得ます。空想シークエンスだって本当にプロットに必要な時だけ表示されましたし、道徳は真新しく、物語も第22シリーズより幾分も改善されていて比較的良いシリーズだったと思います。まあ作品らしさについてはまだ議論の余地がありますね。
下記の総合評価リストでは、既に投稿し終わった記事と異なる点数がいくつかあります。例えば『Thomas and the Forest Engines』を退屈だったと言ったのに、評価を2点上げています。これは詳しい感想とともにその理由をいつか行うであろう第24シリーズ総合レビュー(別記事)にまとめるつもりです。今期は特に語りたいことが多いので分割するかもしれません。
BWBA期が始まる前は2〜3シリーズぐらいで終わるだろうと語っていましたが、まさか本当にその通りになるとは思いもしなかったですし、思いの外私が馴染んだことや、TGRキャラを活かす絶好の機会だった為に、テーマソングで名前が挙がった16か国のうちたった5か国のみの3期でここまでの歩みと共に活動を終えてしまうのは本当に失望しています。特にイギリスに似た鉄道文化のある日本やアメリカ編はやって欲しかったですね。アイヴァンとエティエンヌにも再び会いたかったです…。
さて、まだ現段階ではキービジュアルと、ネルバナの開発者(キャンベル・ブライア)によるリモート会議で得た情報しか無いので、2021年でどう転がっていくかはわかりませんが、私は様子を見ながら普段通りの活動を行っていく方針です。
ひとまず、ここまで読んでいただきありがとうございました。良いお年を。
第24シリーズ総合評価リスト
1. エミリーのしんゆうはどこ? 8/10
2. トーマスとワンちゃん 8/10
3. ちいさなレイルウェイ・ショー 9/10
5. エミリーのきんきゅうしゅつどう 5/10
6. シャンカールのかそうたいかい 10/10
7. ニアとあたらしいゾウさん 10/10
8. スーパーきかんしゃジェームス 8/10
9. うんがわるいトーマス 4/10
10. エースのだいジャンプ 3/10
11. Sonny's Second Chance 10/10
12. はつめいかのルースさん 8/10
13. はつめいかのつくったはし 7/10
14. ヨンバオとトラ 10/10
15. ゴードンとレベッカのおとおりだ 4/10
16. Kenji on the Rails Again 5/10
17. クレオはめずらしいクルマ 6/10
18. ニアのキラキラさくせん 7/10
19. クレオとはじめてのゆき -1/10
20. トーマスとどうぶつきかんしゃ 8/10
21. A New Arrival 3/10
22. World of Tomorrow 9/10
23. じょおうへいかのきかんしゃ 9/10